2023年03月05日

【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)

【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



中古市場では、時としてとんでもない掘り出し物に巡り合うことがあります。
トイガンでも、既に生産終了した絶版品や、長らく探し求めていた銘品、珍品と運命的邂逅をすることがあるので、ガンショップ通いがやめられません。

月に一度は必ず訪れる、大阪日本橋の中古ガンショップのショーケースに、今回のお題は眠っていました。
思わず二度見して笑ってしまうくらいの珍品。
そう、本来ガスガンとしては市場に存在し得ない、コルト キングコブラでした。

今回は番外編として、東京マルイのガスパイソンをベースにカスタマイズされた、コルト キングコブラについて語ろうと思います。



【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



その前に簡単に実銃の話を。

コルト キングコブラは、1980年台後半から90年台にアメリカの老舗コルト社から発売されていた回転式拳銃。
パイソンやダイヤモンドバック、アナコンダ等、蛇の名を冠するモデルのひとつです。
先行するトルーパー MK.Vをベースに、.357マグナム弾の発射を前提とした耐久性重視の改良が加えられ、さらにフレームやバレル等主要部品に錆に強いステンレスが採用されました。
本体色は基本的にステンレスむき出しのシルバーですが、ブルーイングが施された黒いモデルもあるもよう。
1998年頃を最後に生産終了となっていましたが、2019年にリバイバル。各部に設計変更が加えられながらも、現在も生産が続いているようです。
※ソース:https://www.colt.com/series/KING_COBRA_SERIES

キングコブラの2.5インチと言えば、個人的には柴田恭兵演じる『あぶない刑事』のユージ(大下勇次)を連想します。
『リターンズ』と『フォーエバー』でユージのメインウェポンとして活躍しました。
(実はこれが買った一番の理由だったりする・・・)


さて、キングコブラのトイガンですが、冒頭に少し触れた通り、BB弾が発射可能なガスガンとしては、本来市場に存在しません。
唯一トイガンとしてラインナップされているのは、KSCのモデルガンのみとなります。

今回のモデルは、恐らくはキングコブラが大好きで工作技術を持った方が東京マルイのガスパイソン2.5インチをベースに、
KSCのキングコブラ2.5インチのアウターバレルとニコイチで制作したカスタム品と推測しています。

それでは細部を見ていきましょう。



【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)


【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



全体像。
パイソンを見慣れている方からすれば、すごい違和感があるでしょう。
ただ、キングコブラのバレルとパイソンのフレームが、びっくりするくらいマッチしています。
厳密にいえばキングコブラとパイソンはフレームの大きさが異なる(パイソン:Iフレーム、キングコブラ:Vフレーム。パイソンのほうが小さい)のですが、
そんなことが気にならないくらい、見事な仕上がりだと思います。





【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



バレルまわり。
こちらはKSCのキングコブラ2.5インチのものを移植した模様。
中をくりぬきインサートなども除去し、できた空洞にさらに別の銃のアウターバレルをねじ込み接着し、
パイソンのインナーバレルが通るように加工されているように見えます。
なんというか、これはプロの仕事ではないかと。その出来栄えに、思わず脱帽です。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



以降は東京マルイのガスパイソンに準拠する内容ですので簡単に。
トリガーはシングルアクション・ダブルアクションともに軽い引き心地。
トリガー上部のねじ位置やフレームラグの形状がパイソン準拠で、本物のキングコブラとは異なるのはご愛敬ということで・・・





【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



グリップはパックマイヤー風で、ラバーコーティングがされています。
経年劣化でベタ付かないか心配ですが、その前に本家のパックマイヤーのグリップを入手して、内側をくり抜いて、装着してみたいところ。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



ちなみにグリップを外すと、中には本来メインスプリングが入っている場所にガスタンクが入っています。



【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



ハンマーまわり。
ハンマーの直後にはガスガン独自のマニュアルセーフティが備わっており、前に押すとセーフティオン。
ただこれが勝手にかかってしまったりと非常に邪魔なので、早々に取り外しました。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



ハンマーは比較的軽い力で起こせます。
ガスリボルバーとしては一般的な、不正改造防止の板が見えます。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



バレルの反対側面の刻印も、KSCのキングコブラと同様。
フロントサイトの赤いマーキングが、なぜか素人が塗ったような仕上げになっていて、ニコイチ加工の技術力とのギャップにびっくり。
ここはボーディさんのボディガードのように改善の余地あるかも。





【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



フレームのASGKとMADE IN JAPANは、せっかくだから消して欲しかったところ。

シリンダーは時計回りでスミス&ウェッソンは逆回転。
スミス&ウェッソンに慣れているとちょっぴり戸惑います。
非常に軽くおもちゃっぽさがあるものの、よく回ります。

ちなみにシリンダーは左側面後部のラッチを後ろに引っ張るとロックが外れてスイングアウトできます。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



スイングアウトしたシリンダー前部。
レンコンの孔口径がBB弾に準拠した6mmと小口径なのが残念ポイント。
実射性能を重視した結果ですので仕方ないですね。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



本来のガスパイソンはシリンダー内に各4発のマガジンが内蔵されており、これにより24連射が可能となっているのですが、
このモデルはカート式にカスタマイズされており、見事な筒抜けっぷりです。

東京マルイのガスリボルバーの最大のメリットを封じるカスタムですが、
浪漫のほうが大事なのよ。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



カートはキャロムショットのものが付属していました。
マルシンのXカートと同様、先っちょにBB弾を一発ずつ詰めます。
(右上は比較用の.38スペシャルのダミーカート)





【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



キャロムショットのカートを装填するとこんな感じ。
ダミーカートと違い、カート底部がやけに膨らんでいますが、その理由は後述します。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



シリンダーが筒抜けになったことで、ダミーカートも装填できるようになりました。
ただ、残念ながらダミーカート装填時、およびカート未装填時は、仕様によりシリンダーが回転せず&ハンマーコックできず空撃ちできません。





【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



その理由が、東京マルイ製ガスリボルバーの特徴にして欠点でもある、可動式ガス放出孔。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



この放出孔は、ハンマーコック時と発射時に写真のように前に突出してシリンダー部に張り付くことでガスルートとシリンダーの気密性を確保し、
ガスの漏れやロスをなくすという独自の機構を有しているのですが、発射後トリガーとの連動やスプリング等により後退するというギミックはなく、マガジン(このモデルではキャロムのカート底部の膨らみ)に押し戻されることで後退する機構をとっています。
従って、マガジンもしくはカートが入っていない状態では、放出孔が出っ張った状態のままで後退しないため、シリンダーと干渉して回らなくなってしまうというわけです。
(この状態になったら、絶対に無理にスイングアウトしないでください。最悪の場合放出孔が破損します!)




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



ちなみにこの個体は買って即空撃ちしていた段階で、ハンマーやトリガーの感触にどうにも引っ掛かりを感じたので、
分解注油することにしました。
まずはシリンダーを外します。フレーム右側面、トリガー上部のねじを外せば、シリンダーを取り外しできます。



【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



シリンダーを外したら、フレーム左側面の3つのねじを外してサイドプレートを外します。
内部は実銃とは似つかない複雑なメカをしている印象です。
簡単にほこりを取っ払ってからシリコンオイルを注油して組みなおした結果、ハンマーもトリガーも、引っ掛かりなくスムーズになりました。




【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



とりあえず手持ちの、イタリアVega Holster社のIB339に挿してみた図。
IB339はオートマチック用なので当然リボルバーには合いませんが、インサイドパンツホルスターなので実用上は問題なさそう。

IB339は『007 カジノ・ロワイヤル』でダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが使用していたことで有名。
ボンドのホルスターにユージのキングコブラという、とってもセクシーな組み合わせ。



さて、実射性能はというと・・・正直カート式リボルバーという感じの結果。



もともとのオリジナルは、マック堺さんのレビュー動画の通りなかなかの命中精度をもっていたものの、
この個体はカスタムの影響か、もしくはカート式にしたせいか、はたまた冬場の外気温(11℃)が悪さをしていたのか・・・
どうにも安定しませんでした。



【番外編】コルト キングコブラ 2.5インチ(東京マルイ コルトパイソンカスタム)



0.25gを8mから6発、10セット程繰り返してようやく出たベスト結果がコレ。
一発は大きく外してしまいました。
左右のブレは少ないものの、ガス圧が安定しないのか、ドロップ気味の弾道かと思えば急にまっすぐ飛んだりと、とても実戦投入できそうにありませんでした。
初速も今手元に弾速計がないので計測できていないものの、40m/sもないくらい遅めに感じました。



総括として、実射性能はまだ改善の余地はあるものの、キングコブラのガスガンに巡り会えただけでもう十分というのが正直な感想です。

この作品を作り上げた方の発想と技術力、そしてキングコブラへの情熱と愛をひしひしと感じました。
どういう経緯で制作され、手放されてしまったのか知る由もありませんが、新たな出会いに感謝し、これからも大切にしたいと思います。

尚、ベースの東京マルイ製ガスパイソンも今や絶版品で、故障時パーツの確保が課題となりそうです。
(幸いまだ中古市場には転がっているようですが)

今回はここまで。次回もお楽しみに。



追伸:

気になって調べてみたところ、どうやら大阪のとあるショップが限定で制作したカスタムモデルのようでした。やっぱりプロの犯行で納得!

※ソース:https://www.airgun.jp/html/products/detail.php?product_id=12359


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Posted by Tommy 鷹志 at 00:47│Comments(0)カスタム
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