2021年12月27日
タナカ SIG Sauer P229 ガス
昔のクルマ、所謂旧車の人気は衰えることを知りません。
現代の最新のハイブリッド車にはない、渋い魅力があります。
その人気ぶりを物語るかのように、かつて僕が幼いころには普通に走っていたR32スカイラインGT-Rが、
状態の良いものは今や1,000万円で取引される等、まるでビンテージウイスキーのような高騰ぶりです。
余裕あるお財布事情はもちろんですが、古いクルマを乗りこなすのにはきちんとしたメンテナンスと部品の確保が重要。
最新モデルよりはるかに手がかかりますが、それが逆に可愛く情が移ってしまうそうです。
現在は絶版の古いビンテージエアガンも、似たようなものだと感じる自分であります。
今回は、今ではビンテージモデルに数えられ、なかなか入手困難になってきた、タナカのP229ガスガンをご紹介します。
実銃のP229は、フルサイズ9mmダブルカラムのP226をコンパクト化した(文献によってはシングルカラムコンパクトのP225をダブルカラム化と表現)P228の改良モデルで、1992年に登場。
それまでシートメタルのプレス工法で製造されていたスライドを、ステンレスのNCマシンによる削り出し工法に変更、40口径などのより大口径な弾や+Pなどの強装弾に対応できるようになりました。
このP229のNC切削のステンレススライドが、既出のP220、P226にフィードバックされ、現在の標準仕様となっています。
(この影響で、P228が生産終了となってしまいましたが・・・)
口径は.40S&W、.357SIG、そして後に9mmも登場。
コンパクトで使い勝手が良く、米連邦系のLE(USシークレットサービス、エアマーシャル、移民・関税執行局等)にも採用されています。
※写真はホワイトハウス周辺を警備するUSシークレットサービスの制服部隊。ホーグのグリップに、ホルスターはサファリランド。
一方トイガンでは、タナカが1990年代後半にウエスタンアームズのマグナブローバックをエンジンとしたガスガンを発売。
HWモデルやステンレスメッキ調のコンペンセイター、マガジンバンパーとアジャスタブルリアサイトが標準装備のカスタムモデルP229Sがラインナップされましたが、2021年現在再販の兆しは全くなく、絶版となっております。
(ウワサによると、今年発売のモデルガンに金型を流用してしまったようですが、真相はわかりません。ガスガンと共用はしていないんでしょうか・・・?)
今回入手した個体は、とあるネット通販専門の中古エアガン販売店に転がっていたABSモデル。
箱が少し変色した古い製品ですがマガジンは後期型が付属し、状態は良く、取説も揃っていました。
お値段は当時の実売価格とほぼ変わらない25,000円程度と、あまり値下がりしていない市況に驚きました。
行き付けのガンショップの店員さんからも、P229はあまり出回らないと伺ったことがあるので、やはりいまだに人気なのでしょう。
実は当方、P229はもともとあまり興味がなかったのですが、
30代になって急にその魅力に取りつかれ、遅ればせながら入手した次第でございます。
それではいつも通り、細部を見ていきましょう。
パッケージは白を基調としたオリジナルデザイン。HW版は黒地となります。
中身は至ってシンプルで、発泡スチロールの箱は他モデルと共用です。
元々タナカのP229はP228のバリエーションモデルという位置づけのようで、付属の取説はP228のものを流用し、
パーツリストはP229のものを添付するという形をとっています。
(事実、多くの部品はP228と共用です)
ABSモデルですのでHWモデルほどの重量感はありませんが、全体的な質感の良さはさすがタナカ製。2021年現在でも最新モデルに引けを取りません。
この独特なスライドデザインとゴツゴツとした重厚感、たまりません。
刻印は登場初期のモデルを再現し、字体や太さなど、良く再現されています。
ちなみにEXETER-NHは、SIGファンなら耳タコですがSIGのアメリカ法人の所在地、ニューハンプシャー州エクセターを表します。
トリガーは実銃同様に細めのもの。
引き心地は軽いのですが、特にシングルアクション時の感触が良くなく、シアーが落ちる直前の感覚はあまりなく、気持ちが良いフィーリングではありません。
操作系統はP220系を踏襲し、親指の位置にデコッキングレバーとスライドストップレバーがあります。
スライドはP229独自のデザインで、セレーションがスライドトップまでいかないタイプ。
実用面ではやはりP226等には劣るのですが、これぞP229たらしめるチャーミングポイントです。
ファイアリングピンはタナカ製P220系独自(というより、マグナブローバック独自)のものがハンマー付け根付近にあり、これがハンマーの打撃力をマガジンバルブに伝えて撃発する方式です。
やはり実銃では本来あるべき場所に、しかるべき形状で備わってないので、ちょっと寂しいと感じます。
右側面。
エキストラクターは金属パーツで独立しているのが◎。
フレームの刻印の『JAPAN』が非常に惜しいです(ここは嘘でもGERMANYであって欲しかった・・・)
マガジンは製造時期により前期型と後期型があり、後部形状(バルブ付近)に差異があります。
左の前期型はややバルブが大きく、スプリングが2本あるのが特徴で、特にガス漏れがひどいと巷で言われているのがこちら。
一方右の後期型は改良され、バルブがやや小さく、スプリングは1本。幸い僕の個体はどちらもまだガス漏れはしていないようです。
個人的に一番気に入らないのがグリップ。
後部にピンなどの固定用の支柱がなく、握りこむと左右のグリップパネルの合わせ目がずれてしまいます。
そもそもグリップも柔らかい樹脂でできており、力を入れるとたわんでしまうのには閉口しました。
というワケで、この日のために買って大切に保管していた、実銃用のSIG純正グリップの出番がやってまいりました。
この個体は東京のとあるガンショップに転がっていたもの。
実はイスラエル製の最新仕様で、M11-A1に標準装備されています。
タナカがモデルアップした初期のP229には似合わないのですが、そこはご愛敬ということで。
右が実銃用。トイガン用と比べると非常にマットな仕上げで、滑り止め効果は抜群。
実銃用ですので、当然そのまま取り付けることはできず、加工が必要です。
試しにタナカのP229に合わせてみたところ、ネジ穴の位置がややずれており、径も小さいことがわかりました。
(本当は実銃のほうが正しいんだけどね・・・苦笑)
そんな時はリューターで削れば良いのよ。
少しずつ微調整しながら、タナカのネジ位置に合うよう削っていきます(写真の仕上げは粗いですが、この後修正しました)。
無事に装着できましたの図。
やはり実銃用ですので強度はバッチリ(当たり前やな)。
これだけで酒の肴になります。
そうそう、通常分解を忘れていました。
ホップ調整はチャンバー下部のイモネジを回して行います。
よく見たら気づいたのですが、リコイルスプリングが実銃みたいに2本の針金をよじってつくってあるんです!
もちろん実銃に比べると細く強度もないのですが、こういう細かなこだわり、大好きです。
兄弟モデルのP228とのツーショット。
大きな違いはスライドのデザインですが・・・
実はスライドの厚みもこんなに違うんです。
ですので、P228のカイデックスホルスターには、P229は入らないかも。
とは言え、メーカー不詳のP228用レザーホルスターには問題なく入りました。
出所不明の謎アイテムですが、仕上げや強度は十分で、何より留め具がないオープントップタイプですのでお気に入りです。
実射性能については、昔のタナカ製オートそのままといった感じ(当たり前やな)。
初速は50m/s後半と、まあ普通。
リコイルは軽く、冬場はすぐに元気がなくなります。
命中精度は、いつものように8mから0.25g弾を5発叩き込んでみましたが、とりあえずヘッドショットは取れるレベルにはまとまります。
老兵にしては健闘したほうかと思います。
※ただし、ホップはほとんどかけておらず、5m付近でドロップする弾道でのテストでした。
そもそも冒頭の通り、この個体はクルマで言うと旧車。
パーツも手に入らないため、パーツ取り用のジャンクが必須です。
最近はそれすら手に入りにくくなっている気がしますので、見つけたら押さえるようにしています。
当然サバゲーやタクティカルシューティングには使わず、休日にウイスキー片手に、せっせとメンテナンスしながら、大切に愛でるのが至高です。
今回はここまで。ではまた。
追伸:
私事ではございますが、9年付き合った女性とこの度結婚することになりました。
お相手はこの鉄砲趣味に理解があり(しかも御父上も同じ鉄砲趣味で、HK416がお好き)、
おかげ様でこれからも細々と、トイガンライフをやっていけそうです。
Posted by Top Gun at 20:20│Comments(0)
│タナカワークス
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