2022年11月27日
東京マルイ U.S. M9ピストル

あなたを良い方向に変えてくれた人はいますか?
たとえ今ではもう会えなくても、いつまでも大切で尊い存在だと思うのです。
僕にもかつて、そんな人がいました。
前に勤めていた会社の、同い年の先輩でした。
僕は一浪の大卒で、その人は専門卒でしたので、僕より3年先輩だったのですが、僕よりはるかに大人びていて、駆け出しの頃の僕を気にかけてくれる、憧れの人でした。
その人に認められたくて自分を磨いた結果、人として成長することができました。
その人のおかげで、今の会社への転職を決意することができ、僕の人生が大きく変わりました。
人を変える力は、銃にもあります。
もちろん人を殺傷しうる武器ですので、多くの場合は悪い方向に人を変えてしまうのは残念なことですが、
時にはとある少年の、その後の人生を夢あるものに変える力があると思うのです。
僕にとって、ベレッタ92FSがまさにそれでした。
今回は、昔の思い出に浸りながら、東京マルイ U.S. M9ピストルをご紹介します。
実銃のM9は、もはやガンマニアにとっては言うまでもありませんが、1985年に米軍が正式採用したベレッタ92SB-F(=92F)のミリタリーモデル。
後にスライド断裂事件の対策として、現行は改良された92FSに更新されています。
湾岸戦争をはじめ、いくつもの戦場で活躍し、バトルプルーフが成されてきました。
※M9と92FSは細かな仕様の違いはあれど、軍用か民間用かで名前が変わるだけで、基本的には同じ銃です。
従って、ここではM9=92FSとして語ります。
米軍に採用されて以降、その美しいデザインから、スクリーンの世界でも一世を風靡。
『リーサルウェポン』シリーズや『ダイハード』シリーズ等、劇中のヒーローを支える名脇役として舞台に花を添えました。
個人的にはジャッキー・チェンとクリス・タッカーの『ラッシュアワー』で活躍していたイメージがあります。
この銃は、僕にとっても大変思い入れがあります。
2001年の12月24日、当時10歳の僕に、両親からクリスマスプレゼントとして東京マルイのM92Fミリタリーモデルが贈られました。
対象年齢10歳以上用のエアーコッキングガン(しかも厳密には92FSではない)でしたが、一人の少年にとっては初めての『愛銃』で、この世界にのめりこむには十分な『カギ』でした。
これを機に、僕の人生が大きく変わり、以後20余年、トイガンライフから抜け出せずにいます(笑)。
その後、初めて握ったブローバックガスガンも、ウエスタンアームズのベレッタ92FSでした。
まだホップアップがついていない初期の旧式でしたが、当時ブローバックの衝撃に大いにカルチャーショックを受けたのをよく覚えています。
つまり何を隠そう、僕をこの世界に引き込んだのは、ベレッタ92FSだったのです。

さて、東京マルイのブローバックガスガンのお話に移すと、1999年にM92Fミリタリーモデルとして最初のモデルがデビューしました。
しかし、東京マルイらしくコストダウン最優先の独自設計で、ホップアップは固定式、デコッキングは省略と、旧式感が否めませんでした。
(その後、タクティカルマスター等のオリジナルの派生モデルをリリースするも、基本的にはM92Fミリタリーモデルと大差ありません)
2012年にようやくシリーズの改良版としてM9A1が登場。念願の可変ホップやデコッキングが搭載されましたが、レールが嫌という人も少なくなかったかと思います。
そしてついに、2015年にスタンダードな92FSの軍用モデルとして、U.S. M9ピストルがリリースされた、という流れです。
さて、前置きはこのくらいにして、いつも通り細部を見ていきましょう。

パッケージは黒を基調としたシンプルでシックなデザイン。
取説は前作のM9A1と共通のものになりました。


手に取ると、旧モデルのM92Fミリタリーモデルのような安っぽさは軽減された印象。
アウターバレルとフレームは防錆処理を再現したようなザラザラした感触のある塗装が施されてあります。
今となってはクラッシックな銃らしく、ずっしりと重みを感じます。

マズルまわり。
バレルが大きくはだけた美しいデザインは、多くの銃器ファンを魅了して止みません。
ベレッタの魅力がフロント近辺に凝縮されていると感じます。
アウターバレルのライフリングがハッキリし過ぎで興ざめなので、ここはやすりで削って調整します。

刻印は一部が東京マルイオリジナルですが、よく雰囲気を再現できていると思います。
ベレッタのリアル刻印は、大人の事情で某メーカーの独占なので仕方ありません。

トリガーフィーリングは軍用のダブルアクションオートらしいぬるっとした印象。
ただ、トリガープルはP226等に比べれば軽めです。
レバー類はベレッタ系オートでは共通の、テイクダウンレバー+スライドストップレバーの配置。
ちなみに最近の東京マルイ製ブローバックガスガンのパーティングラインはきっちり処理されており、
U.S. M9ピストルも同様。

ベレッタ92FS(M9)で一番嫌いなのが、このセーフティ兼デコッキングレバーの配置。
手が小さい人には使いづらいことこの上ありません。
(92Fより前のモデルはガバやUSPと同じ配置だったのに、何を思ってこの位置にしたのか摩訶不思議です)
おまけに壊れやすいようで、以前所有してたウエスタンアームズ製も早々に故障してしまいました。
東京マルイのはどうでしょうか?
ちなみにハンマーが起きている状態でレバーを下げるとデコック、ハンマーが落ちている状態だとセーフ。

グリップも版権の都合で東京マルイオリジナルの3本剣(実銃は3本矢)。
ここは実物グリップに変えてしまいましょう。
スクリューは現行の六角タイプです。
ちなみにグリップは太く、女性や手の小さい人にはちょっとつらいかも・・・

ハンマーまわり。
六角ねじではあるものの、ファイアリングピンらしきものは再現されており、実銃同様デコック時に上を向きます。
アイアンサイトのドットは軍用の2点タイプ。

右側面。
フレームのオリジナル刻印は仕方ないので諦めましょう。
ちなみにM9と現行の92FSでは、ダストカバーの形状に差異があります。
現行の92FSでは側面のラインが銃口に向かって斜めに上向いているのに対し、M9は初期の92FSの仕様に準拠しているため、
まっすぐなラインなのは豆知識です。

通常分解。
マガジンを外してチャンバークリアしてから、左側面前部のテイクダウンレバーを操作しスライドを前に押すだけ。
慣れれば簡単にここまで分解できます。

スライドASSY。
M9A1からようやく、可変ホップが実装されました(中央のダイヤルで調整します)。

マガジンはM92Fミリタリーモデルと共通(というか同一)で、スピードリロード等でマガジンを落とすとガス漏れしやすい構造なので注意。
米軍放出品の実物(画像右)と比較すると、背面の残弾確認孔が再現されていない等設計の古さは否めません。
次回の実射編に続きますのでお楽しみに。
2023/1/4追記:
新年あけましておめでとうございますということで、
撃ち初めを兼ねて実射テストをしてまいりました。
マガジンを人肌程度に温めて撃ってみると、今どきの最新モデルのような強いリコイルはないものの、
バシッとはじけるような素早いスライドスピードで、かつてのM92Fミリタリーのようなもっさり感はありません。
冬場の寒い中でのテストでしたが、息切れすることもなく最終弾まで撃ち切れる程度の性能があります。

初速については、0.25g弾で60m/S前後で、ブローバックガスハンドガンとしては平均的かと。
さて、命中精度についてです。
かつてM9A1がリリースされた当時からネットで騒がれた、下着弾の件もありましたので、
どの程度のものか、テストしてみました。

いつも通り0.25g弾×5発で、8mから所謂アイソセレスでの立射を3セット程トライした結果。
ちなみに適正ホップにセッティングし、センター照準で撃ちました。
どれも6cm圏内にまとまっており、よく当たると思います。
1セット目がやや下着弾気味ではあるものの、全体的にこの個体では気になるほどの下着弾現象は見られませんでした。
この個体は2022年11月末に新品で購入したものですが、
特に最近のロットで、この下着弾現象に対して対策が施されたという話は聞きませんので、
個体差によるものかもしれません。
以上、東京マルイのU.S.M9ピストルのレビューでした。
ベレッタ92FSを握ると、昔のことを思い出します。
僕を変えてくれた先輩のことも、時折思い出してしまいます。
ベレッタ92FSと先輩、どちらにも言わせて頂きたいのは、『僕の人生を変えてくれたことへの感謝』。これに尽きます。
ベレッタ92FSは僕の人生を豊かで浪漫あるものへと変えてくれました。
先輩は僕が自らを磨き変わるためのきっかけを与えてくれました。
どちらの存在もあったからこそ、今の僕の人生があるのです。
残念ながらその先輩とはご縁が切れてしまい、たとえ望んだとしても、お会いすることはもう二度と叶わないでしょう。
それでも、僕の中にはいつまでも大切な人として残り続けますし、感謝の思いを胸に、そしてその人の幸せを心から願い、『明日に向かって前進する』のみです。

(実は『Gun Professionals』2018年10月号の、Toshiさんの企画『この銃に会いたかった』で、ベレッタ92FSの記事を書いたの、僕なんですね~。Toshiさんお元気ですか~?その節は大変お世話になりました!)
Posted by Top Gun at 01:33│Comments(0)
│東京マルイ
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