2019年08月31日
タナカ SIG Sauer P228 (U.S. M11)
長年探し求めてきた念願の逸品を手にした時の感動は、言葉にできないものがあります。
探せど探せど見つからない時に感じるあの切なさと恋しさ、そして積もり積もった鬱憤ともどかしさを、一瞬で吹き飛ばすだけの衝撃があります。
長年片思いしてきた女を、ようやく自分のものにできた時感じるような、そんな気持ちに近いかもしれません。
いつものようにネットサーフィンしながら、何気なく中古銃を見漁っていた時、それをついに掘り当ててしまいました。
今回は、僕が長年探し求めてきたビンテージモデル、タナカのSIG Sauer P228をレポートします。
実銃のP228は、1988年に発表されたP220系列のダブルカラム・コンパクトモデル。
先行するP226を若干サイズダウンし、携帯性を向上させたモデルで、P220系列の初期モデル同様、スライドはスチールプレス製で、エキストラクターは内蔵式。
米軍にM11として採用された他、シークレットサービスなどの法執行機関にも多く採用された名銃です。
後継のP229の登場以来、絶版となってしまったP228ですが、その血筋を引くモデルが現在でも健在。米軍で採用されたM11を民間向けにアレンジしたM11-A1が発売されています。
もちろん米軍仕様のP228とは別物で、現行P220系列と同様、ステンレス切削スライドにアップグレードされ、SIGLITE Night Sightが標準装備されています。
実銃は非常に人気ですが、日本のエアソフトではP228をモデルアップしていたメーカーは少なく、現在では東京マルイがエアーコッキングモデルをラインナップしているのみ。かつて啓平社(KHC)が固定ガスモデルを販売していました。
ガスブローバックモデルについてはタナカが長らく販売を続けていましたが、2019年8月末現在では再販の情報はなく、ほぼ絶版に近い状況です。
P228は個人的に非常に思い入れのある銃で、子供の頃に東京マルイのP228を長らく愛用していました。
子供の手にもしっくりくるサイズで、デザインも武骨でカッコよく、非常にお気に入りでした。
その昔買ったエアガンカタログでタナカのP228を知り、長らく探し求めてきましたが、気づいた時にはすでに市場に新品はなく、中古品も程度の悪いものや高価な美品がたまに現れるかどうかという状況・・・。時すでに遅しといった具合ですな。
今回、とある大手リサイクルショップのネットモールに格安で転がっていたため、即ポチってしまいました。
一週間前にKSCのP230を衝動買いしたばかりで痛い出費でしたが、全く後悔していません(笑)。
それどころか、お値段に見合わないくらい、使用された形跡があまり見られない美品で、非常にいい買い物でした。
それでは細部を見ていきましょう。
パッケージはグレーが基調の懐かしきデザイン。
かつて業界を騒がせた2006年の改正銃刀法適合のシールがあることから、それ以降に生産された個体であるようです。
さすがに外箱には多少の痛みがありますが、前のオーナーさんが非常に大切に保管されていたようで、状態は良好です。
中にはちゃんと取扱説明書が同封されていました。
中古で絶版に近いのでこれはありがたい!
今回購入したのは米軍に採用されたU.S. M11仕様で、ABSモデル。
本体には使用感がほとんどなく、傷や錆も見られない新品に近い状態でした。
古いモデルなので傷だらけのものを想定していましたが、これは嬉しい誤算です。
持った感じはABS樹脂製なので比較的軽く、昔持っていた東京マルイのP228を思い出します。
スライドの刻印はいかにもオールドSIGといった感じで最高です。
このシンプルさがいいんですよ。
ABS樹脂製なので表面仕上げはややプラスチックさが否めませんが、古いモデルなんでご愛敬ということで。
マズルフェイス。
クラッシックP220から伝統の、武骨でシンプルなデザイン。マズルとリコイルスプリングガイドとの位置関係、バランス、すべてがもうたまりません。最高にカッコいいです。
写真では映り込まないように撮っていますが、インナーバレルの真鍮色がやはり目立つので、後程黒染めします。
トリガーはP220系列らしい、粘りがあって遊びが大きい引き心地。決してキレはよくありませんが、軍用オートとしてはこんなもんでしょう。
P220から受け継がれる、デコッキングレバー周辺の操作系統はもちろんライブ。各レバーの位置関係も絶妙で、慣れれば一番使いやすいと感じるのは自分だけでしょうか??
グリップのシボ加工はややマイルドですが、滑る感じはありません。
グリップパネル後部に若干の軋みとたわみを感じるので、まだ改善の余地はあるかも。
サイトは3点式で、プラスチックが埋め込まれているタイプなので塗装のように剥がれる心配は皆無。
実銃のファイアリングピンは模しておらず殺風景ですが、マグナブローバック方式のため、ハンマーの付け根に実際のファイアリングピンがあり、これがマガジンのバルブを叩くことで作動します。
本体右側面。
フレームには米軍納入モデルを示す『U.S. M11』の刻印があります。
実銃では本来シリアルナンバーが打刻される位置に、メーカー刻印とASGK刻印があるのがやや萎えポイント。
通常分解はまずマガジンを抜き、チャンバーの残弾を抜いてから、他のP220系列同様フレーム左側面のテイクダウンレバーを反時計回りに90度回し、スライドを前に押し出して行います。
通常分解されたP228の図。
バレルASSY。
ホップアップ調節は、チャンバー下部中央に見える六角ネジにレンチを挿して行います。時計回りに回せばホップがかかります。
マグナブローバックのエンジン部。
古いモデルなので、今では当たり前のスライドストップノッチの削れ対策などはありません。
装弾数15発のマガジン。
リップは金属製で破損の心配はなさそうですが、ちょっとした衝撃でBB弾が飛び散りそう。
この個体には後期型のマガジンが付属していました(バルブ付近のバネの数で判別。ちなみに前期型はバネが2本)。
ちなみにタナカの古いオート(最新のP220 ICを除く)で避けて通れないガス漏れ問題ですが、この個体は大丈夫そう。
後期型マガジンは前期型に比べればまだマシらしいのでしばらく様子見です。
もしガス漏れが始まったら、先人の皆様が残しておられる対策を施してみようと思います・・・。
現在所有するP220系列と並べてみました。
上から、タナカ P220 IC、東京マルイ P226R(ただし、P226E2ベースのカスタムモデル)、そして今回の主役。
東京マルイ P226Rとのサイズ比較。
こうしてみるとそこまで大きなサイズ差はありませんが、スライドとフレームを少し切り詰めただけでここまで印象が変わるんですね。
トリガーガードのデザインは、武骨で角ばったP226よりも流れるようなP228のほうがセクシーで好きです。
一年前に作ったM11-A1とのツーショット。
今更ですが、2018年のハイパー道楽さんのカスタムガンコンテストに応募してみたら銅賞を頂いちゃいました。
感謝御礼です。
実射性能については、昔のタナカオートらしい撃ち味。
リコイルは軽く、冷えにも弱い印象。全弾撃ちきる前に息切れし、ホールドオープンしない時もあります。
初期のマグナブローバックなので仕方がないのですが、だんだん寒くなっていくこれからの作動とガス漏れが心配です。
初速については、気温27度で60m/s弱といった具合。
命中精度についても、いつも通り5mから0.25gを5発撃って計測。
赤丸が1セット目で、青丸が2セット目です。
やや上下に広がっている印象ですが、悪くありません。
10m以上の距離については追って計測しますが、旧型のP220である程度イメージができているので、あまり期待はできません。
いや、実射性能は置いといても、非常にいい買い物でした。
そもそも手に入るか否かという希少品で、さらに美品というコンディションでしたので、大変満足です。
長年探していただけに、もはや感無量といったレベルです。
今夜はひとりお酒を飲みながらP228を眺めつつ、昔の思い出に浸ろうと思います。
あと、P228のICモデル、マジで待ってます。
P220 IC並にバシバシ動くP228とか最高じゃないですか。
絶対買いますので、タナカさん是非御願いします。
今回はここまで。ではまた。
Posted by Tommy 鷹志 at 16:32│Comments(0)
│タナカワークス
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