2017年07月09日
タナカ SIGSauer P220 陸上自衛隊仕様 HW Ver2 (9mm拳銃)
ガンマニアたるもの、日本で身近にある銃には興味があるもの。
待ち行くおまわりさんの腰を見ては、あの銃は何だろう?と思いを馳せたものです。
当然、我らが自衛隊の銃も然り。
特に拳銃大好きな僕にとって、自衛隊の9mm拳銃は憧れでした。
駐屯地祭や航空祭で実物を目にすることこそできなかったものの、自衛隊が登場する映画を少年時代によく見たものです。
戦国自衛隊1549(2005年)、そして亡国のイージス(2005年)では、登場人物が使用する銃として頻繁に登場。大きな活躍を見せたワケではないものの、当時の僕にはその存在が強烈に脳裏に焼きつきました。
黒一色の無骨で飾りっ気のないデザインながら、どこか華奢で優雅な佇まい。
僕には薄化粧の正統派美人のように見えました。
いろいろ調べていくうちに、タナカワークスからガスガンが発売されていることを知り、欲しくてたまらなくなりました。
しかし当時は中高生時代。年齢的にも金銭的にも買えませんでした。
あれから10余年、人並みに社会人となった僕も、ささやかながらありがたきボーナスというものを頂戴しました。
そしてついに、ようやく、長年の憧れ、高嶺の花を手にすることができました。
というワケで、今回はタナカワークスのSIGSauer P220 陸上自衛隊仕様 HW Ver2 (以下、9mm拳銃)をレビューします。
実銃の9mm拳銃は、SIGSauer P220 (9mm)を、日本のベアリングメーカーのミネベアミツミが自衛隊向けにライセンス生産し納入しているモデル。戦後米軍から供与された11.4mm拳銃(M1911A1)の後継として1982年に配備が開始されました。
P220としては、西ドイツ時代の9mm口径・角型プレススライド・ボトム式マグキャッチモデルに準拠しています。
刻印と生産地が違うだけのはずですが、そのお値段なんと20万円超えと、本家の数倍はお高くなっております。
そんな日本生まれのヨーロッパ拳銃を、タナカワークスがガスブローバックガンとしてモデルアップ。
コレは最新のHW Version2モデルで、グリップパネルもHWになっているんだとか。
そもそもタナカの9mm拳銃って、いつから販売されているんでしょう?
僕が厨房の頃からあるので、少なくとも10年以上前からある息の長いモデルですよね?
まぁ9mm拳銃のモデルアップはタナカだけなので人気なんでしょうな(笑)
では細部を見ていきましょう。
外箱。
シンプルなベージュの箱にでかでかと9mm拳銃の文字が映えます。
その下にステッカーで「HEAVY WEIGHT VERSION 2」とあり、現行最新モデルであるとわかります。
箱の中も至ってシンプル。
昔ながらの白い発泡スチロールに、本体と取扱説明書、安全キャップにBB弾少々。
マズルまわり。
プレススライドモデル特有の角の取れたスライド先端。
控えめに再現されたライフリングがGOOD。
スライド。
HWでマットな仕上げ。
引き心地はそこまで重くないものの、何ともオモチャっぽい「パコンッ」といった冴えない音がします。
刻印は本家にはない独自のもので、「NMB SHIN CHUO LICENCE SIG-SAUER」。
「NMB」は製造元のミネベア(Nippon Miniature Bearing。南部の略かと思っていたら違いました)、「SHIN CHUO」は新中央工業のこと。
ここで製造元のお話を少し。
十四年式で有名な南部麒次郎は、南部銃製造所を設立、これが紆余曲折を経て中央工業となり、戦後新中央工業として再編。官公庁向け銃器を生産していました。さらにはミネベア(現:ミネベアミツミ)に合併され、現在に至ります。
この刻印にはそんな日本の拳銃業界の歴史が詰まっているような気がします(笑)
トリガー・操作部まわり。
レバー類はブルー仕上げで、SIGらしいカッチリとした操作感。
スライドストップノッチはインサートなど摩耗対策の類が見当たらず、耐久性に不安あり。
トリガーのキレはイマイチで、レットオフのタイミングがつかめないまま突然落ちる感じです。
ダブルアクションも重めで、いかにも軍用銃と言ったところ。
SIGシリーズの伝家の宝刀、デコッキングレバー。
トリガー右上のデコッキングレバーを下げれば、ハンマーを安全にダウンできます。
グリップ。
HWのおかげかマットでざらついた握り心地。
シングルカラムなので日本人にも握りやすいと思います。
グリップ底部には日本の官公庁が大好きなランヤードリングが標準装備。
マグキャッチもボトムレバー式で、マガジンをうっかり落とす心配もありません。
(その分、ボタン式のようなスピードリロードなんて芸当はできませんが・・・)
なるほど、9mm拳銃は紛失対策までばっちりで、実に日本人が好む要素満点ですな。
(そりゃ薬莢1つ無くしただけで大騒ぎになるんですもん・・・)
右側面。
「9mm拳銃」と桜のWマークが妙に新鮮。
消えそうなくらい薄い刻印がむしろリアル。
ハンマーまわり。
やっぱりファイアリングピンは再現されてなくて残念。
リアサイトはオールドなタイプ。
通常分解の手順はSIGシリーズの基本形。
まずマガジンを抜き、チャンバーに弾がない事を確認します。
次に赤丸のテイクダウンレバーを時計回りに90度回します。
そしてスライドを前に押し出します。
あとはリコイルスプリングASSY、バレルを外してやるだけで簡単に通常分解できます。
チャンバー裏の見えないところにもちゃんと刻印が。
さすがタナカさん芸が細かいですね。
エンジンまわり。
WAのマグナブローバックメカをライセンスで使っているんだとか。
中央の突起はホップ調整ネジでマイナスドライバーを使って調整します。
リアルなマガジンは装弾数12発。
サバゲーには心許ない弾数ですが、リアルカウント派のアナタには問題なし。
やはりシングルカラムなので冷えには弱いです・・・
タナカのオートとなると巷のウワサ通りガス漏れが心配要素ですが、改良されたのか今のところ問題なしです。
マグナブローバック式ガスガンの厄介なマガジン。
ガスを入れる前に、バルブのレバーを下に押し下げておく必要があります。
そうしないとガスを注入しても放出口からガスが抜けるだけでいつまでたってもガスが充填されません。
マルイタイプに慣れていると、最初は正直なところ戸惑います。
さて、気になる実射性能は、可もなく不可もなくといったところ。
リコイルはHWですがどこか軽く、バコッといった感じ。
WAのマグナを知っている方は、「これホントにマグナか?」と拍子抜けしそうです。
それでも夏場はそれなりに元気で、12発全弾撃ちつくしホールドオープンします。
命中精度は射程5m、気温28度でG&Gの0.25g×5発で計測しました。
その結果は上の通り。やや右にそれましたが、グルーピングは悪くありません。
5mなのであまりあてになりませんが、お座敷ならこれほどの精度があれば十分かと。
今度10mに挑戦します。
総評として、自衛隊好きなら迷わず買いでしょう(いや、もうすでにもってるか笑)。
さすがタナカワークス、モデルガン並に仕上げが良く、ずっしりとした重量もあって所有欲が満たされます。
実射性能については突出はしていませんが、夏場の近接戦闘であればそれなりに戦えると思います。
定価¥24,800とやや高価なのがネックですが、市場に流通する9mm拳銃はコレだけですし、価格に見合った満足感があるのは間違いありません。
長年憧れたマドンナに、ようやく会えた気持ちになりました。
近々自衛隊装備とご当地LE用に使いたいと思います。
今回はここまで。次回もお楽しみに。
Posted by Top Gun at 02:00│Comments(0)
│タナカワークス
コメントは承認制です。尚、「通りすがり」「匿名希望」「名無し」等、匿名ハンドルネームによるコメント、および特定個人・団体を誹謗中傷するコメントについては一切承認致しません。あらかじめご了承ください。