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Posted by ミリタリーブログ at

2023年05月08日

【コラボ企画】実銃vsトイガン タナカ P229 HW ガスガン




ガンマニアという生き物は、気が付けば同じような銃を何丁も集めてしまう習性があるように思います。
ご自宅の収納が、1911系オートやS&Wのリボルバーでいっぱいになってしまった経験、あなたにもありませんか?

かくいう僕も、最近P229愛が止まらず、1年ちょい前にタナカのP229ガスガンのABSモデルを手に入れて愛でていましたが、ついにHWモデルを入手してしまいました。

素人からすれば材質が違うだけで全く同じものにしか見えませんが、好きな銃はABSもHWも欲しくなってしまうのがマニアというもの。
これだからこの趣味はやめられません。



さて今回は、旧Gun誌時代から現在もご活躍されているアメリカ在住の実銃ライター、Toshiさんとのコラボ企画となります。

旧Gun誌の頃から続くToshiさんの企画『あの銃に会いたい/この銃に会いたかった』に記事投稿させて頂いたご縁で、
現在もToshiさんとメル友の僕ですが、今回Toshiさんのご厚意で、Toshiさんの実銃写真をお借りして比較レビューをさせて頂くことになりました。

日本を代表する大御所ライターさん(しかも何のご縁か、HK416が大好きな僕の義父と同い年)とのコラボというだけで恐縮しっぱなし、
ドキがムネムネな僕ですが、いつも以上に張り切ってやっていこうと思います。






改めて実銃について簡単におさらい。

実銃のP229は、フルサイズ9mmダブルカラムのP226をコンパクト化した(文献によってはシングルカラムコンパクトのP225をダブルカラム化と表現)P228の改良モデル。
それまでのモデル(P220、P225、P226、P228)のスライドはシートメタルのプレス工法で製造されていましたが、
このP229からはNCマシンによるステンレス塊の削り出し工法に変更。40口径などのより大口径な弾や+Pなどの強装弾に対応できるようになりました(実際P229の最初のモデルは40口径)。
SIGSauerのHPでは1992年に生産開始とありますが、文献によっては1991年登場とありますので、1991年に発表、1992年に量産・販売開始ではないかと推察します。







実は最近まで、P229にはあまり興味がなかったので、トイガンはおろか実銃写真すらろくに持っていませんでした。

かつて仕事でアメリカに1年程いた際も、行きつけのアウトドアショップの中古銃コーナーに初期のレガシーモデルが転がっていたにも関わらず(画像赤丸)、
ろくにカメラにおさめないまま帰国するという、今思えば大変惜しいことをしました。
(SP2022なんか撮ってないでP229を撮れよと、当時の自分を殴りたい・・・)

そして三十路になってから嗜好が変わり、P229大好き人間になってから、ようやくタナカのガスガンを中古で入手した次第ですが、
せっかくアメリカにいたのに実銃写真がないというまさに『後悔先に立たず』状態でした。

そんな中で、ちょろっと記事投稿した読者の一人に過ぎない僕に、何から何までご協力頂いたToshiさんには、ただただ感謝するばかりです。


ではToshiさんの美しい写真を添えて、実銃との比較対決といきましょう。







実銃のマズルフェイス。
クラウンは丸まっており、ヘアラインが入ります。
P220系オートのアイアンサイトには、サイトの高さを示す数字が入っており(この個体は『6』)、
4~10の間で、フロントサイトは数字が大きくなるほど高さが低くなり、
リアサイトは数字が大きくなるほど高さが高くなるようです。
(ソース: https://www.realgunreviews.com/sig-sauer-sight-heights-sight-numbers/ )







トイガンのマズルフェイス。
実銃に比べてスライド上部がやや角ばっている印象。
クラウンにはヘアラインもわずかながら再現されています。
フロントサイトには数字刻印無し。ただちゃんとドブテイル方式です。
ちなみにインナーバレルは入手後黒染めしているので目立ちません。






実銃のスライド。
刻印のレイアウトは、後にP226のステンレス切削スライド品にも踏襲されます。
『STAINLESS』の刻印が懐かしいですね。







トイガンのスライド。
HWの質感が防錆塗装のようで、ABSモデルとは比べ物にならないくらいの存在感を放ちます。
刻印の彫りがちょっと薄い印象ですが、書体はほぼ忠実に再現。






実銃の機関部・操作部。
フレーム中央のテイクダウンレバーは初期のデザイン。
デコッキングレバーとスライドストップリリースレバーの配置が秀逸で、これに慣れると他のオートに違和感を覚えるようになると個人的には思います。







トイガンの機関部・操作部。
スライド中央から伸びる10本のセレーションも完璧に再現。
この頃のガスガンは仕方ないのですが、スライドストップノッチに金属板などの補強がないので、
使っていくうちにすり減ってしまいます。






実銃のグリップ。
黒い純正の樹脂グリップこそ至高です。
最近のモデルはE2グリップ等に置き換わってしまっていますが、実用性はさておき、この頃のグリップが一番好きです。






トイガンのグリップ。
力を入れてぐっと握ると軋んで合わせ目がズレてしまうのが残念ポイント。
また、シボ加工が甘く、結構つるつるしていて滑りやすいです。
実銃を握ったことがないので推測になりますが、実銃はもっと手への食いつきがよいはずです。
(少なくとも、ABSモデルのレビューの際に入手した最新仕様の実物グリップは最高の食いつきでしたので・・・)






実銃のハンマーとリアサイト。
ハンマーは操作性良好ながら丸みがあり衣服に引っ掛からないように考慮された絶妙なデザイン。
リアサイトは初期の1ポイントタイプで、Toshiさん所有の個体は前部に『8』の刻印あり。






トイガンのハンマーとリアサイト。
実銃形状のファイアリングピンの再現はないのですが、ハンマー根元付近に実際のファイアリングピンがあり、これによってマガジンのバルブを叩く方式をとっています。
この副次効果か、東京マルイのP226のようにハンマーが全落ちせず、ハーフコック位置で止まるのはさすがタナカといったところ。

ちなみにハンマー下の右側から出ている突起はトイガン独自のマニュアルセーフティ。
この個体は故障していて作動しませんが、そもそもP220系にマニュアルセーフティなどという無粋なものは要りません。







実銃のスライド周辺。
スライドのデザインは、P229最大のチャーミングポイント。
セレーションは長いほうが操作性は良いのですが、このスライドじゃなきゃP229らしくありません。

P229はもともと40口径からスタートし、エアマーシャルが採用しているとされる357SIGもラインナップにありますが、
Toshiさんの個体は9mmパラのモデル。







トイガンのスライド周辺。
タナカのガスガンはToshiさんの個体と同じく9mmパラ口径。
チャンバーの形状が実銃とやや異なるのと、フレームの『MFG TANAKA WORKS』刻印が残念ポイント。






実銃のトリガー。
重さはToshiさん情報ではDAが6kg程度、SAが2.3kg。
トリガーガードはP228から踏襲される、丸みのある美しいデザイン。







トイガンのトリガー。
実銃よりやや細く、トリガープルは軽めです。
トリガーガード内側にはパーティングラインががっつりと残ってしまっています。







実銃のバレルには、ティルトアップする際につく独特の塗装剥がれがまるで模様のように現れます。

フレームには『-SIGARMS INC. EXETER NH- FRAME P229 MADE IN GERMANY』の刻印が入るのですが、
当時はフレームをドイツで製造、それをニューハンプシャー州エクセターのアメリカ現地法人SIGARMSに送り、
完成品として組立していました。
当時スライドの切削加工はドイツで行うにはコストが高く、アメリカ現地法人に担当させることで、総合的なコストダウンを図っていたようです。
(ソース:Gun Professionals 2012年6月号 P14)






トイガンのバレルもショートリコイルによるティルトアップを再現。
アウターバレルの先端から1cm程度が、ラインが切られ厚くなっているのですが、なぜなのかサッパリです。
フレームの刻印が『MADE IN JAPAN』になっているのが非常に惜しいですね。






実銃のマグウェル。
Toshiさん曰く、当時のモデルは9mmパラ仕様と40&357仕様ではフレーム寸法が異なり、
9mmパラ仕様はわずかにマグウェルが狭いとのこと。






トイガンのマグウェル。
タナカのP229のフレームはP228と刻印だけ変えて共用しているようです。






実銃の通常分解。
フレーム中央のテイクダウンレバーを下に90度、時計回りに回せばスライドを前に押せます。
スライドは前述の通りP229からステンレス塊からの切削に変わり、非常にマッシブで頼もしい佇まい。






トイガンの通常分解。
非常にリアルに再現されていると思います。
尚、リコイルスプリングは本来実銃同様に2本の針金をよじったものがオリジナルですが、
この個体は前のオーナーが社外品に交換しているようです。

さて、ここからは『Toshi大先生の写真をトイガンで頑張って真似てみた』シリーズです。




















今回Toshiさんとコラボさせて頂いて感じたのですが、やっぱりプロのお仕事は凄い!!ということ。

僕も素人ながら今回はかなりこだわり、撮影用照明やレフ板、固定具、エアダスター等、装備を一式揃え、
撮り方を勉強し、納得いくまで何度も撮り直して執筆に臨んだのですが、所詮は付け焼刃の素人技。
ピントが合わなかったり、光の当て方がなかなか思うようにいかなかったり、奥が深く非常に難しいと感じました。
百戦錬磨のライターさんの技術には遠く及ばずお恥ずかしい限りです。

カメラも手持ちのiPhoneですので、一眼レフには敵いません。

それにToshiさんの写真は綺麗で色っぽくて、読者を引き込む魅力があるように思うのです。

そんなガンマニアの大先輩に、このような貴重な機会とお力添えを頂きましたこと、感謝してもしきれません。
この場をお借りして、Toshiさんには深く御礼申し上げます。
有難うございました。

今回のコラボ、如何でしたでしょうか?
ではまた。

Special thanks to: Toshiya Yoshifuji

当記事に掲載した画像の無断転載を固く禁じます。
All rights reserved.
  

Posted by Tommy 鷹志 at 06:34Comments(0)タナカワークス

2021年12月27日

タナカ SIG Sauer P229 ガス





昔のクルマ、所謂旧車の人気は衰えることを知りません。
現代の最新のハイブリッド車にはない、渋い魅力があります。

その人気ぶりを物語るかのように、かつて僕が幼いころには普通に走っていたR32スカイラインGT-Rが、
状態の良いものは今や1,000万円で取引される等、まるでビンテージウイスキーのような高騰ぶりです。

余裕あるお財布事情はもちろんですが、古いクルマを乗りこなすのにはきちんとしたメンテナンスと部品の確保が重要。
最新モデルよりはるかに手がかかりますが、それが逆に可愛く情が移ってしまうそうです。

現在は絶版の古いビンテージエアガンも、似たようなものだと感じる自分であります。

今回は、今ではビンテージモデルに数えられ、なかなか入手困難になってきた、タナカのP229ガスガンをご紹介します。








実銃のP229は、フルサイズ9mmダブルカラムのP226をコンパクト化した(文献によってはシングルカラムコンパクトのP225をダブルカラム化と表現)P228の改良モデルで、1992年に登場。
それまでシートメタルのプレス工法で製造されていたスライドを、ステンレスのNCマシンによる削り出し工法に変更、40口径などのより大口径な弾や+Pなどの強装弾に対応できるようになりました。
このP229のNC切削のステンレススライドが、既出のP220、P226にフィードバックされ、現在の標準仕様となっています。
(この影響で、P228が生産終了となってしまいましたが・・・)
口径は.40S&W、.357SIG、そして後に9mmも登場。










コンパクトで使い勝手が良く、米連邦系のLE(USシークレットサービス、エアマーシャル、移民・関税執行局等)にも採用されています。
※写真はホワイトハウス周辺を警備するUSシークレットサービスの制服部隊。ホーグのグリップに、ホルスターはサファリランド。







一方トイガンでは、タナカが1990年代後半にウエスタンアームズのマグナブローバックをエンジンとしたガスガンを発売。
HWモデルやステンレスメッキ調のコンペンセイター、マガジンバンパーとアジャスタブルリアサイトが標準装備のカスタムモデルP229Sがラインナップされましたが、2021年現在再販の兆しは全くなく、絶版となっております。
(ウワサによると、今年発売のモデルガンに金型を流用してしまったようですが、真相はわかりません。ガスガンと共用はしていないんでしょうか・・・?)

今回入手した個体は、とあるネット通販専門の中古エアガン販売店に転がっていたABSモデル。
箱が少し変色した古い製品ですがマガジンは後期型が付属し、状態は良く、取説も揃っていました。
お値段は当時の実売価格とほぼ変わらない25,000円程度と、あまり値下がりしていない市況に驚きました。
行き付けのガンショップの店員さんからも、P229はあまり出回らないと伺ったことがあるので、やはりいまだに人気なのでしょう。

実は当方、P229はもともとあまり興味がなかったのですが、
30代になって急にその魅力に取りつかれ、遅ればせながら入手した次第でございます。

それではいつも通り、細部を見ていきましょう。








パッケージは白を基調としたオリジナルデザイン。HW版は黒地となります。
中身は至ってシンプルで、発泡スチロールの箱は他モデルと共用です。








元々タナカのP229はP228のバリエーションモデルという位置づけのようで、付属の取説はP228のものを流用し、
パーツリストはP229のものを添付するという形をとっています。
(事実、多くの部品はP228と共用です)











ABSモデルですのでHWモデルほどの重量感はありませんが、全体的な質感の良さはさすがタナカ製。2021年現在でも最新モデルに引けを取りません。
この独特なスライドデザインとゴツゴツとした重厚感、たまりません。









刻印は登場初期のモデルを再現し、字体や太さなど、良く再現されています。
ちなみにEXETER-NHは、SIGファンなら耳タコですがSIGのアメリカ法人の所在地、ニューハンプシャー州エクセターを表します。









トリガーは実銃同様に細めのもの。
引き心地は軽いのですが、特にシングルアクション時の感触が良くなく、シアーが落ちる直前の感覚はあまりなく、気持ちが良いフィーリングではありません。









操作系統はP220系を踏襲し、親指の位置にデコッキングレバーとスライドストップレバーがあります。
スライドはP229独自のデザインで、セレーションがスライドトップまでいかないタイプ。
実用面ではやはりP226等には劣るのですが、これぞP229たらしめるチャーミングポイントです。









ファイアリングピンはタナカ製P220系独自(というより、マグナブローバック独自)のものがハンマー付け根付近にあり、これがハンマーの打撃力をマガジンバルブに伝えて撃発する方式です。
やはり実銃では本来あるべき場所に、しかるべき形状で備わってないので、ちょっと寂しいと感じます。









右側面。
エキストラクターは金属パーツで独立しているのが◎。
フレームの刻印の『JAPAN』が非常に惜しいです(ここは嘘でもGERMANYであって欲しかった・・・)











マガジンは製造時期により前期型と後期型があり、後部形状(バルブ付近)に差異があります。
左の前期型はややバルブが大きく、スプリングが2本あるのが特徴で、特にガス漏れがひどいと巷で言われているのがこちら。
一方右の後期型は改良され、バルブがやや小さく、スプリングは1本。幸い僕の個体はどちらもまだガス漏れはしていないようです。










個人的に一番気に入らないのがグリップ。
後部にピンなどの固定用の支柱がなく、握りこむと左右のグリップパネルの合わせ目がずれてしまいます。
そもそもグリップも柔らかい樹脂でできており、力を入れるとたわんでしまうのには閉口しました。









というワケで、この日のために買って大切に保管していた、実銃用のSIG純正グリップの出番がやってまいりました。
この個体は東京のとあるガンショップに転がっていたもの。
実はイスラエル製の最新仕様で、M11-A1に標準装備されています。
タナカがモデルアップした初期のP229には似合わないのですが、そこはご愛敬ということで。









右が実銃用。トイガン用と比べると非常にマットな仕上げで、滑り止め効果は抜群。
実銃用ですので、当然そのまま取り付けることはできず、加工が必要です。
試しにタナカのP229に合わせてみたところ、ネジ穴の位置がややずれており、径も小さいことがわかりました。
(本当は実銃のほうが正しいんだけどね・・・苦笑)











そんな時はリューターで削れば良いのよ。
少しずつ微調整しながら、タナカのネジ位置に合うよう削っていきます(写真の仕上げは粗いですが、この後修正しました)。











無事に装着できましたの図。
やはり実銃用ですので強度はバッチリ(当たり前やな)。
これだけで酒の肴になります。









そうそう、通常分解を忘れていました。









ホップ調整はチャンバー下部のイモネジを回して行います。

よく見たら気づいたのですが、リコイルスプリングが実銃みたいに2本の針金をよじってつくってあるんです!
もちろん実銃に比べると細く強度もないのですが、こういう細かなこだわり、大好きです。









兄弟モデルのP228とのツーショット。
大きな違いはスライドのデザインですが・・・









実はスライドの厚みもこんなに違うんです。
ですので、P228のカイデックスホルスターには、P229は入らないかも。








とは言え、メーカー不詳のP228用レザーホルスターには問題なく入りました。
出所不明の謎アイテムですが、仕上げや強度は十分で、何より留め具がないオープントップタイプですのでお気に入りです。









実射性能については、昔のタナカ製オートそのままといった感じ(当たり前やな)。

初速は50m/s後半と、まあ普通。
リコイルは軽く、冬場はすぐに元気がなくなります。
命中精度は、いつものように8mから0.25g弾を5発叩き込んでみましたが、とりあえずヘッドショットは取れるレベルにはまとまります。
老兵にしては健闘したほうかと思います。
※ただし、ホップはほとんどかけておらず、5m付近でドロップする弾道でのテストでした。


そもそも冒頭の通り、この個体はクルマで言うと旧車。
パーツも手に入らないため、パーツ取り用のジャンクが必須です。
最近はそれすら手に入りにくくなっている気がしますので、見つけたら押さえるようにしています。
当然サバゲーやタクティカルシューティングには使わず、休日にウイスキー片手に、せっせとメンテナンスしながら、大切に愛でるのが至高です。

今回はここまで。ではまた。


追伸:

私事ではございますが、9年付き合った女性とこの度結婚することになりました。
お相手はこの鉄砲趣味に理解があり(しかも御父上も同じ鉄砲趣味で、HK416がお好き)、
おかげ様でこれからも細々と、トイガンライフをやっていけそうです。






  

Posted by Tommy 鷹志 at 20:20Comments(0)タナカワークス

2019年08月31日

タナカ SIG Sauer P228 (U.S. M11)





長年探し求めてきた念願の逸品を手にした時の感動は、言葉にできないものがあります。
探せど探せど見つからない時に感じるあの切なさと恋しさ、そして積もり積もった鬱憤ともどかしさを、一瞬で吹き飛ばすだけの衝撃があります。

長年片思いしてきた女を、ようやく自分のものにできた時感じるような、そんな気持ちに近いかもしれません。

いつものようにネットサーフィンしながら、何気なく中古銃を見漁っていた時、それをついに掘り当ててしまいました。

今回は、僕が長年探し求めてきたビンテージモデル、タナカのSIG Sauer P228をレポートします。







実銃のP228は、1988年に発表されたP220系列のダブルカラム・コンパクトモデル。
先行するP226を若干サイズダウンし、携帯性を向上させたモデルで、P220系列の初期モデル同様、スライドはスチールプレス製で、エキストラクターは内蔵式。
米軍にM11として採用された他、シークレットサービスなどの法執行機関にも多く採用された名銃です。






後継のP229の登場以来、絶版となってしまったP228ですが、その血筋を引くモデルが現在でも健在。米軍で採用されたM11を民間向けにアレンジしたM11-A1が発売されています。
もちろん米軍仕様のP228とは別物で、現行P220系列と同様、ステンレス切削スライドにアップグレードされ、SIGLITE Night Sightが標準装備されています。






実銃は非常に人気ですが、日本のエアソフトではP228をモデルアップしていたメーカーは少なく、現在では東京マルイがエアーコッキングモデルをラインナップしているのみ。かつて啓平社(KHC)が固定ガスモデルを販売していました。
ガスブローバックモデルについてはタナカが長らく販売を続けていましたが、2019年8月末現在では再販の情報はなく、ほぼ絶版に近い状況です。

P228は個人的に非常に思い入れのある銃で、子供の頃に東京マルイのP228を長らく愛用していました。
子供の手にもしっくりくるサイズで、デザインも武骨でカッコよく、非常にお気に入りでした。
その昔買ったエアガンカタログでタナカのP228を知り、長らく探し求めてきましたが、気づいた時にはすでに市場に新品はなく、中古品も程度の悪いものや高価な美品がたまに現れるかどうかという状況・・・。時すでに遅しといった具合ですな。

今回、とある大手リサイクルショップのネットモールに格安で転がっていたため、即ポチってしまいました。
一週間前にKSCのP230を衝動買いしたばかりで痛い出費でしたが、全く後悔していません(笑)。
それどころか、お値段に見合わないくらい、使用された形跡があまり見られない美品で、非常にいい買い物でした。

それでは細部を見ていきましょう。






パッケージはグレーが基調の懐かしきデザイン。
かつて業界を騒がせた2006年の改正銃刀法適合のシールがあることから、それ以降に生産された個体であるようです。

さすがに外箱には多少の痛みがありますが、前のオーナーさんが非常に大切に保管されていたようで、状態は良好です。






中にはちゃんと取扱説明書が同封されていました。
中古で絶版に近いのでこれはありがたい!









今回購入したのは米軍に採用されたU.S. M11仕様で、ABSモデル。
本体には使用感がほとんどなく、傷や錆も見られない新品に近い状態でした。
古いモデルなので傷だらけのものを想定していましたが、これは嬉しい誤算です。

持った感じはABS樹脂製なので比較的軽く、昔持っていた東京マルイのP228を思い出します。







スライドの刻印はいかにもオールドSIGといった感じで最高です。
このシンプルさがいいんですよ。
ABS樹脂製なので表面仕上げはややプラスチックさが否めませんが、古いモデルなんでご愛敬ということで。






マズルフェイス。
クラッシックP220から伝統の、武骨でシンプルなデザイン。マズルとリコイルスプリングガイドとの位置関係、バランス、すべてがもうたまりません。最高にカッコいいです。

写真では映り込まないように撮っていますが、インナーバレルの真鍮色がやはり目立つので、後程黒染めします。






トリガーはP220系列らしい、粘りがあって遊びが大きい引き心地。決してキレはよくありませんが、軍用オートとしてはこんなもんでしょう。
P220から受け継がれる、デコッキングレバー周辺の操作系統はもちろんライブ。各レバーの位置関係も絶妙で、慣れれば一番使いやすいと感じるのは自分だけでしょうか??






グリップのシボ加工はややマイルドですが、滑る感じはありません。
グリップパネル後部に若干の軋みとたわみを感じるので、まだ改善の余地はあるかも。






サイトは3点式で、プラスチックが埋め込まれているタイプなので塗装のように剥がれる心配は皆無。
実銃のファイアリングピンは模しておらず殺風景ですが、マグナブローバック方式のため、ハンマーの付け根に実際のファイアリングピンがあり、これがマガジンのバルブを叩くことで作動します。






本体右側面。
フレームには米軍納入モデルを示す『U.S. M11』の刻印があります。
実銃では本来シリアルナンバーが打刻される位置に、メーカー刻印とASGK刻印があるのがやや萎えポイント。






通常分解はまずマガジンを抜き、チャンバーの残弾を抜いてから、他のP220系列同様フレーム左側面のテイクダウンレバーを反時計回りに90度回し、スライドを前に押し出して行います。






通常分解されたP228の図。






バレルASSY。
ホップアップ調節は、チャンバー下部中央に見える六角ネジにレンチを挿して行います。時計回りに回せばホップがかかります。






マグナブローバックのエンジン部。
古いモデルなので、今では当たり前のスライドストップノッチの削れ対策などはありません。






装弾数15発のマガジン。
リップは金属製で破損の心配はなさそうですが、ちょっとした衝撃でBB弾が飛び散りそう。
この個体には後期型のマガジンが付属していました(バルブ付近のバネの数で判別。ちなみに前期型はバネが2本)。

ちなみにタナカの古いオート(最新のP220 ICを除く)で避けて通れないガス漏れ問題ですが、この個体は大丈夫そう。
後期型マガジンは前期型に比べればまだマシらしいのでしばらく様子見です。
もしガス漏れが始まったら、先人の皆様が残しておられる対策を施してみようと思います・・・。







現在所有するP220系列と並べてみました。
上から、タナカ P220 IC、東京マルイ P226R(ただし、P226E2ベースのカスタムモデル)、そして今回の主役。







東京マルイ P226Rとのサイズ比較。
こうしてみるとそこまで大きなサイズ差はありませんが、スライドとフレームを少し切り詰めただけでここまで印象が変わるんですね。

トリガーガードのデザインは、武骨で角ばったP226よりも流れるようなP228のほうがセクシーで好きです。







一年前に作ったM11-A1とのツーショット。
今更ですが、2018年のハイパー道楽さんのカスタムガンコンテストに応募してみたら銅賞を頂いちゃいました。
感謝御礼です。






実射性能については、昔のタナカオートらしい撃ち味。
リコイルは軽く、冷えにも弱い印象。全弾撃ちきる前に息切れし、ホールドオープンしない時もあります。
初期のマグナブローバックなので仕方がないのですが、だんだん寒くなっていくこれからの作動とガス漏れが心配です。

初速については、気温27度で60m/s弱といった具合。







命中精度についても、いつも通り5mから0.25gを5発撃って計測。
赤丸が1セット目で、青丸が2セット目です。
やや上下に広がっている印象ですが、悪くありません。
10m以上の距離については追って計測しますが、旧型のP220である程度イメージができているので、あまり期待はできません。


いや、実射性能は置いといても、非常にいい買い物でした。

そもそも手に入るか否かという希少品で、さらに美品というコンディションでしたので、大変満足です。
長年探していただけに、もはや感無量といったレベルです。

今夜はひとりお酒を飲みながらP228を眺めつつ、昔の思い出に浸ろうと思います。


あと、P228のICモデル、マジで待ってます。
P220 IC並にバシバシ動くP228とか最高じゃないですか。
絶対買いますので、タナカさん是非御願いします。


今回はここまで。ではまた。





  

Posted by Tommy 鷹志 at 16:32Comments(0)タナカワークス

2018年05月19日

タナカ P220 IC 陸上自衛隊(9mm拳銃)




『タナカワークスの本気。』
そんなキャッチコピーがしっくりくる、とんでもないモデルが発売されました。

日本全国の本職自衛官の皆様、そして自衛隊ファンの皆様。
お待たせ致しましたというべきでしょうか。
ついに、ゲームユースに耐えられる、史上最強のエアソフト9mm拳銃が、ここに完成したようです。

今回はタナカワークスの最新作、P220 ICをレポートします。


■実銃について






画像はとある陸自駐屯地記念行事で取材した実銃

実銃は、戦後自衛隊(旧警察予備隊)発足以来使用していた米軍供与のM1911A1(11.4mm拳銃)の後継として、自衛隊が現在も正式採用している自動拳銃。
スイス(ドイツ)のSIG Sauer社製P220の9mmパラ口径・ヨーロピアンモデルをミネベア(現:ミネベアミツミ)にてライセンス生産しています。

元々は幹部や戦車搭乗員等の自衛用や警務官の主要装備として主に使用されていましたが、対テロを想定した市街地戦、近接戦闘での有用性から、現在では普通科連隊でもサイドアームとして運用されるようになりました。


■トイガンについて






9mm拳銃のトイガンはタナカワークスが1社独占で1990年代より販売しています。
ウエスタンアームズのマグナブローバックを採用し、HW Version2までマイナーチェンジを経て生産されていましたが、既に旧式感が否めず、おまけにタナカワークスのオート特有のガス漏れが構造上頻発するなど、優れた実射性能とは到底言えないものでした。

今回発売されたP220 ICは、これまでの旧モデルとの互換性をなくし、完全新規で開発し直した野心作。
雑誌等媒体での発表段階から、その進化ぶりが期待されていました。

僕も2018年4月頭の発表後即予約。
ようやく実機を入手することができました。

どれほどの変貌を遂げたのか、期待に胸が高まります。


■外観レビュー







パッケージ。
実銃の箱を意識したデザインが素晴らしく、もはやモデルガンのよう。
中には本体の他、取扱説明書と安全キャップ、BB弾が少々。








さすがタナカワークス、モデルガンのような繊細で高度な再現力に脱帽です。
本体はABS樹脂製でHW樹脂に比べるとプラ感が残りますが、安っぽさはあまり感じません。







実銃のスライドとフレームの材質の違いを再現すべく、塗分けられています。
スライドはややグレーがかったパーカーライズド(防錆処理)っぽい仕上げで、フレームのマットブラックとのコントラストがいい感じ。






刻印は細く薄く。
ミネベア(旧:新中央工業)でライセンス生産されたSIGSauerというのはもはや言わずもがなですな。






いわゆるクラッシックSIGオートの元祖なので、操作系はオーソドックスな、デコッキング付マニュアルセーフティなしのシングル・ダブルアクション。
デコッキングレバーはもちろんライブで、コックしたハンマーを安全におろすことが可能。

ダブルアクショントリガーは比較的軽め。東京マルイ製P226よりは断然軽い印象。
シングルアクションもやや遊びはあるものの軍用オートとしては平凡な引き心地かと。









マズルフェイスを実銃と比較。
やや実銃に比べ角が落とされていたりしてますが、上手く再現できていると思います。
真鍮製インナーバレルがやや張り出しており自己主張が強め。
気になる方は黒染めしてしまったほうがいいでしょう。









本体右側面の、桜にW(Weapon)の武器マークと「9mm拳銃」の刻印が妙に新鮮。
漢字の書体の再現もばっちり。
実銃のスライドは、訓練で酷使されてかあるいは丁寧にクリーニングがされ過ぎてか、もはやバトルダメージを通り越してスライドシルバーのツートーンに見えてしまいます。
エアガンでこのバトルダメージをいつか塗装で再現するのが地味に夢だったりします。







スライド・フレームともにパーティングラインが綺麗に処理されているのはもはやタナカワークスには当たり前。







ハンマーまわり。
モールドながら実銃のファイアリングピンがさりげなく再現してあってGOOD。









グリップはシングルカラムなので日本人にも比較的握りやすく、グリップアングルも個人的には非常に好み。

昔のヨーロピアンオートで流行った、ボトムのマグキャッチが懐かしい佇まい。
今時のタクティカルなリロードには全く不向きですが、マガジンなくしたらえらいことになる自衛隊にはむしろ好都合。
野山を駆け巡ってもマガジンを誤って落っことすリスクははるかに低減されます。







恐らくこれまでのタナカワークス製オートではなかったであろう、今トレンドの金属製ブリーチと噛み合うスライドストップを採用。
これでスライドのノッチが削れていく不安からようやく解放されます。







通常分解は他のSIGオートと同じ(元祖だから当たり前か)。
まずマガジンを抜き、チャンバーに残弾がないことを確認したら、トリガー上部・フレーム左側面のレバーを90度回してスライドを前に押し出すだけ。







通常分解されたP220 IC。
ここまで慣れればすぐバラせます。







今回の新規設計で採用された、可変ホップダイヤル。
これも最近のトレンドで、通常分解しなくてもチャンバーに指を突っ込んで調整が可能となりました。
時計回りでHOPが強くなります。







今回の最大の改良点であり、IC(Integrated Chassis)の名を冠する所以が、インナーフレームおよびガイドレールの金属化。
これにより旧モデルと比べ、耐久性と動作性を向上させています。






よく見るとアウターフレームとインナーフレーム間に隙間があったり、やや軋む感じがしなくもないですが、実用強度上問題はなさそうです。






マガジンも新規設計で装弾数は20発。



■新旧比較


ここまで外観を中心に見てみましたが、旧モデルとどのくらい変化点があったのか、もっと知りたい方もいるはず。
そこで手持ちの旧モデルと比較し、わかる範囲で差異を見てみました。

今回比較する旧モデルは、以前レポートした陸上自衛隊仕様のHW Ver2です。







まずは外観。
ぱっと見は塗装の変更程度であまり変わらないように見えますが、後述の通り細かな変化点が見られます。







右側面の刻印は製造年の字サイズがやや異なる他、フレームのメーカー刻印が無くなったのが最大の変化点です。これはリアル派には嬉しい改良です。







旧モデルに存在した、フロントサイト後部の謎の出っ張りもなくなりすっきりしました。
実銃を見る限りはこれが正解っぽいです。

2022/10/3追記:
読者の方から頂いた情報ですが、どうやら実銃の9mm拳銃には、薄っすらとですがフロントサイト後部に出っ張りが入っているようです。
(勉強になりました。ちなみに純正のSIG Sauer P220にはないようです。月刊GUN Professionals 2016年9月号参照)

ただ、旧モデルのようにあからさまではなく、やすりで削って平らにしたくらいがちょうどいい感じです。







ハンマーまわりにも改良あり。
旧モデルには独立したファイアリングピンがあり、これをハンマーが叩いてガスを放出する方式をとっていましたが、P220 ICは東京マルイなどに見られる、ハンマーと連動したノッカーがバルブを叩く方式を採用しているようです。
さらに新モデルはモールドながら実銃のファイアリングピンを模しており、外観のリアリティも向上しています。







インナーバレルがP220ICでより前方へ飛び出るようになったため、マズルのリアリティは旧モデルに軍配が上がります。







旧モデルでは不安であったスライドストップノッチの摩耗も、P220 ICでは前述の通り低減される設計になりました。







スライドASSYも、全く別物となりました。
エンジン部の構造も、性能向上を目指して設計変更されているようです。







バレル・チャンバー部は、HOPUP機構が大幅に変更され、より扱いやすく性能の高い設計となりました。
旧モデルではマイナスドライバーでねじを回すことで下部からHOPパッキンが張り出す方式でしたが、P220 ICではダイヤル式となり操作性が大幅に向上しただけでなく、パッキンも上からバーで押さえる方式に変更されたようです。







チャンバー部の設計変更に合わせ、バレルチルトを再現する機構も変更されており、外観が全く異なっています。






フレーム部は金属製インナーシャーシの有無にとどまらず、前述の通り撃発方式も大きく設計変更されました。

ちなみに、P220 ICではスライドを引いてからでなければガスが放出されず、作動しないようになっています。
例えば空撃ちで遊ぶ際、ガスを入れたマガジンを挿入して、スライドを引かずにトリガーをダブルアクションで引いただけではスライドは動作せず、ハンマーが連動してカチカチ動くだけ。故障ではなく仕様ですので悪しからず。







マガジンも大きく設計変更された箇所です。
まず装弾数が12発から20発へ増量し、下部からBB弾を一気に流し込めるよう前面スリットが拡大されています。
また、ボトムプレートを2本のピンで止める固定方式となりました。







放出バルブについても、旧モデルのような、マグナブローバック方式特有の可動式プレートはなくなり、ガード付ながら比較的オーソドックスなタイプのバルブに変更されています。
ガードはプラスドライバーで外せそうなので、これはひょっとするとカスタムパーツで社外製バルブが出そうな予感。







マガジンが完全新規となった分、旧モデルとのマガジン互換性はありません。
試しに旧モデルのマガジンをP220 ICに挿してみたら、画像の位置より奥に挿入できませんでした。

旧モデルに限らず、タナカワークス製SIGオートで問題となっていたガス漏れが、今回の新規設計でどの程度改善されているかは現時点では未知数です。
とりあえずこれから1年程度使ってみて、ガス漏れが発生するようでしたら別途記事にしてみたいと思います。


2019/5/19追記

あれから1年間、がっつり使い倒してみましたが、
ガス漏れは皆無です。
素晴らしい。タナカ製オートとしては、もはや革命的です。
安心して実戦投入できます。



■実射性能



実射性能については、旧モデルを知っておられる方は驚くこと間違いなし。
完全新規となり、撃ち味も雲泥の差と言えるほどに向上しています。

リコイルについては、旧モデルが軽くもっさりした動きだったのに対し、P220 ICでは素早くシャキシャキとした、鋭いものに変貌を遂げています。
動画の通り、ラピッドファイアのテストでもしっかり指についてきたうえ、スライドストップもばっちりかかりました。







初速は65m/S程度でブローバックガスガンとしては平凡なほう。






おまけに驚いたのが命中精度と飛距離。
旧モデルでは8m以前でドロップするような弾道だったのに対し、P220 ICでは10m超えてもまっすぐ素直な弾道で、きちんとターゲットに当てられるだけの精度を箱出しで持っています。

画像は東京マルイの0.25g弾使用、8mからツーハンド立射で5発の結果。
なんと50mmにまとまりました。
しかも大きな左右のブレはなく、安定しているのがわかります。

これはイイ・・・!!


■総評

これは本当にいい買い物をしました。
予約してまで買った甲斐あり、非常に満足しました。

むしろ予想以上の進化ぶりで、驚きの一言です。

まだまだ実戦投入してみないとわからない性能もありますが、少なくとも旧モデルとは比べ物にならないぐらい、使える9mm拳銃であることは間違いありません。

自衛隊ファンのみならず、タナカオートを知る人には一度でいいから撃ってみて頂きたい逸品です。
今年はコレと東京マルイの89式GBBで、自衛隊装備と行きましょう。

ついにタナカワークスが長年の眠りから目覚めたかのように、これまで霞んでいたオートのジャンルでいい仕事をしてくれました。
個人的に好みの機種をモデルアップするメーカーだけに、今後もこのように新規設計でリニューアルしていってほしいものです。

P228 ICとかP229 ICとか、出たら買いますよ。










  

Posted by Tommy 鷹志 at 03:48Comments(7)タナカワークス

2017年07月09日

タナカ SIGSauer P220 陸上自衛隊仕様 HW Ver2 (9mm拳銃)






ガンマニアたるもの、日本で身近にある銃には興味があるもの。
待ち行くおまわりさんの腰を見ては、あの銃は何だろう?と思いを馳せたものです。

当然、我らが自衛隊の銃も然り。
特に拳銃大好きな僕にとって、自衛隊の9mm拳銃は憧れでした。

駐屯地祭や航空祭で実物を目にすることこそできなかったものの、自衛隊が登場する映画を少年時代によく見たものです。
戦国自衛隊1549(2005年)、そして亡国のイージス(2005年)では、登場人物が使用する銃として頻繁に登場。大きな活躍を見せたワケではないものの、当時の僕にはその存在が強烈に脳裏に焼きつきました。

黒一色の無骨で飾りっ気のないデザインながら、どこか華奢で優雅な佇まい。
僕には薄化粧の正統派美人のように見えました。

いろいろ調べていくうちに、タナカワークスからガスガンが発売されていることを知り、欲しくてたまらなくなりました。
しかし当時は中高生時代。年齢的にも金銭的にも買えませんでした。

あれから10余年、人並みに社会人となった僕も、ささやかながらありがたきボーナスというものを頂戴しました。
そしてついに、ようやく、長年の憧れ、高嶺の花を手にすることができました。

というワケで、今回はタナカワークスのSIGSauer P220 陸上自衛隊仕様 HW Ver2 (以下、9mm拳銃)をレビューします。








実銃の9mm拳銃は、SIGSauer P220 (9mm)を、日本のベアリングメーカーのミネベアミツミが自衛隊向けにライセンス生産し納入しているモデル。戦後米軍から供与された11.4mm拳銃(M1911A1)の後継として1982年に配備が開始されました。

P220としては、西ドイツ時代の9mm口径・角型プレススライド・ボトム式マグキャッチモデルに準拠しています。
刻印と生産地が違うだけのはずですが、そのお値段なんと20万円超えと、本家の数倍はお高くなっております。







そんな日本生まれのヨーロッパ拳銃を、タナカワークスがガスブローバックガンとしてモデルアップ。
コレは最新のHW Version2モデルで、グリップパネルもHWになっているんだとか。

そもそもタナカの9mm拳銃って、いつから販売されているんでしょう?
僕が厨房の頃からあるので、少なくとも10年以上前からある息の長いモデルですよね?
まぁ9mm拳銃のモデルアップはタナカだけなので人気なんでしょうな(笑)

では細部を見ていきましょう。








外箱。
シンプルなベージュの箱にでかでかと9mm拳銃の文字が映えます。
その下にステッカーで「HEAVY WEIGHT VERSION 2」とあり、現行最新モデルであるとわかります。








箱の中も至ってシンプル。
昔ながらの白い発泡スチロールに、本体と取扱説明書、安全キャップにBB弾少々。








マズルまわり。
プレススライドモデル特有の角の取れたスライド先端。
控えめに再現されたライフリングがGOOD。








スライド。
HWでマットな仕上げ。
引き心地はそこまで重くないものの、何ともオモチャっぽい「パコンッ」といった冴えない音がします。

刻印は本家にはない独自のもので、「NMB SHIN CHUO LICENCE SIG-SAUER」。
「NMB」は製造元のミネベア(Nippon Miniature Bearing。南部の略かと思っていたら違いました)、「SHIN CHUO」は新中央工業のこと。

ここで製造元のお話を少し。
十四年式で有名な南部麒次郎は、南部銃製造所を設立、これが紆余曲折を経て中央工業となり、戦後新中央工業として再編。官公庁向け銃器を生産していました。さらにはミネベア(現:ミネベアミツミ)に合併され、現在に至ります。

この刻印にはそんな日本の拳銃業界の歴史が詰まっているような気がします(笑)








トリガー・操作部まわり。

レバー類はブルー仕上げで、SIGらしいカッチリとした操作感。

スライドストップノッチはインサートなど摩耗対策の類が見当たらず、耐久性に不安あり。

トリガーのキレはイマイチで、レットオフのタイミングがつかめないまま突然落ちる感じです。
ダブルアクションも重めで、いかにも軍用銃と言ったところ。








SIGシリーズの伝家の宝刀、デコッキングレバー。
トリガー右上のデコッキングレバーを下げれば、ハンマーを安全にダウンできます。








グリップ。
HWのおかげかマットでざらついた握り心地。
シングルカラムなので日本人にも握りやすいと思います。








グリップ底部には日本の官公庁が大好きなランヤードリングが標準装備。
マグキャッチもボトムレバー式で、マガジンをうっかり落とす心配もありません。
(その分、ボタン式のようなスピードリロードなんて芸当はできませんが・・・)

なるほど、9mm拳銃は紛失対策までばっちりで、実に日本人が好む要素満点ですな。
(そりゃ薬莢1つ無くしただけで大騒ぎになるんですもん・・・)








右側面。
「9mm拳銃」と桜のWマークが妙に新鮮。
消えそうなくらい薄い刻印がむしろリアル。









ハンマーまわり。
やっぱりファイアリングピンは再現されてなくて残念。
リアサイトはオールドなタイプ。








通常分解の手順はSIGシリーズの基本形。
まずマガジンを抜き、チャンバーに弾がない事を確認します。
次に赤丸のテイクダウンレバーを時計回りに90度回します。
そしてスライドを前に押し出します。








あとはリコイルスプリングASSY、バレルを外してやるだけで簡単に通常分解できます。








チャンバー裏の見えないところにもちゃんと刻印が。
さすがタナカさん芸が細かいですね。








エンジンまわり。
WAのマグナブローバックメカをライセンスで使っているんだとか。
中央の突起はホップ調整ネジでマイナスドライバーを使って調整します。








リアルなマガジンは装弾数12発。
サバゲーには心許ない弾数ですが、リアルカウント派のアナタには問題なし。
やはりシングルカラムなので冷えには弱いです・・・

タナカのオートとなると巷のウワサ通りガス漏れが心配要素ですが、改良されたのか今のところ問題なしです。








マグナブローバック式ガスガンの厄介なマガジン。
ガスを入れる前に、バルブのレバーを下に押し下げておく必要があります。
そうしないとガスを注入しても放出口からガスが抜けるだけでいつまでたってもガスが充填されません。
マルイタイプに慣れていると、最初は正直なところ戸惑います。








さて、気になる実射性能は、可もなく不可もなくといったところ。

リコイルはHWですがどこか軽く、バコッといった感じ。
WAのマグナを知っている方は、「これホントにマグナか?」と拍子抜けしそうです。
それでも夏場はそれなりに元気で、12発全弾撃ちつくしホールドオープンします。

命中精度は射程5m、気温28度でG&Gの0.25g×5発で計測しました。
その結果は上の通り。やや右にそれましたが、グルーピングは悪くありません。

5mなのであまりあてになりませんが、お座敷ならこれほどの精度があれば十分かと。
今度10mに挑戦します。









総評として、自衛隊好きなら迷わず買いでしょう(いや、もうすでにもってるか笑)。

さすがタナカワークス、モデルガン並に仕上げが良く、ずっしりとした重量もあって所有欲が満たされます。
実射性能については突出はしていませんが、夏場の近接戦闘であればそれなりに戦えると思います。

定価¥24,800とやや高価なのがネックですが、市場に流通する9mm拳銃はコレだけですし、価格に見合った満足感があるのは間違いありません。

長年憧れたマドンナに、ようやく会えた気持ちになりました。
近々自衛隊装備とご当地LE用に使いたいと思います。

今回はここまで。次回もお楽しみに。





  

Posted by Tommy 鷹志 at 02:00Comments(0)タナカワークス