2017年09月23日
東京マルイ H&K USP Compact
僕はコンパクトサイズのハンドガンが好きです。
フルサイズでは大きくてかさばり、コンシールドキャリーするにもジャケットからドローするにも少々使いにくく感じてしまいます。
実銃の世界では、今や使えるコンパクトオートが数多とあり、デザインや使いやすさ、口径でえり好みすることができます。
しかし、日本のトイガン業界ではそうもいきません。エアガンは小さくなればなるほど技術的に安定した性能を得るのが難しくなるので、仮にモデルアップされても実射性能がどこかパッとしないものが多いのが実情でした。
特にサイズに左右されると思うのはリコイルショック。サイズが小さくなればリコイルショックも弱くなるのが一般的で、小さくてもリコイルショックが強いモデルになかなか出会えません。
さらに僕は9mmのヨーロピアンオートが大好物。そのせいで、何年か前に東京マルイからデトニクス.45が発売されましたが、あまり購買欲に駆られませんでした。
いいものはないだろうかと探し続けて数年、ついに満足のいくモデルが現れました。
今回は東京マルイのUSP Compactをレビューします。
※アメリカで取材した実銃
USP(Universal Self-loading Pistol)は、ドイツの大手銃器メーカーのHeckler & Koch が開発したポリマーフレームオート。
独創的な銃をつくることで有名な同社が、自社ラインナップにハンドガンのフラッグシップというべきモデルを確立すべく、技術的冒険を極力抑え、既存の信頼性の高いメカでデザインした堅実的なモデルです。
Compactは文字通りフルサイズモデルを切り詰めたコンパクトモデル。ドイツ警察など多くの機関で正式採用されるほか、メディアの世界ではドラマ"24"で主人公のジャック・バウアーが使用するなど有名です。
そんなポピュラーなモデルを、東京マルイは最新技術を駆使してモデルアップ。
これまでに培ってきたガスガンのノウハウを惜しみなく投入した結果、コンパクトハンドガンとしては最高傑作というべきものに仕上がっています。
では詳細に見ていきましょう。
外箱。
やはりジャック・バウアーの銃だけに、デザインからして24感が溢れ出ています。
内装は最近の東京マルイ製品らしく、発泡スチロールの梱包材を紙製梱包でカバーし、少しでも安っぽさを出さずに精悍に仕上げる工夫がされています。
手にすると小さいながらずっしりとした重みがあり、仕上げもなかなか。実銃の雰囲気をよく表現しています。
左側面。
ダストカバーには独自規格のレールを装備。スライドはわずかにラメが入ったマットブラック。
スライド刻印。
左がエアガンで、右が実銃。
字体、彫りの太さ深さともに、実銃を完璧に再現しています。
フロントまわり。
真鍮のインナーバレルが目立つので、気になるリアル派の皆さんは黒く染めましょう。
リコイルスプリングガイドは、生産時期によって先端がフラットなタイプと二股のタイプがあり、東京マルイは二股タイプをモデル化したようです。
トリガーまわり。
トリガーのキレや重さは、一般的な軍用ダブルアクションオートと同等で、可もなく不可もなく。
アンビでレバータイプのマガジンキャッチはややトリガー寄りに配置されており、日本人には親指から遠いので使いにくいと感じます。
レバー類は東京マルイ製品全般に言える通り、塗膜の弱さが不安です。
グリップにはシボ加工とチェッカリングで滑り止め対策がされており、さらにはマガジンを引き抜きやすくするようマグバンパー付近にくぼみがあります。グリップ刻印は最新のタイプを再現。
実銃との比較。
左がエアガンで右が実銃。
シボ加工のパターンがやや異なるかも。
トリガーガード下部には英語で「取扱説明書参照」の刻印あり。
USP Compactには独立したマニュアルセーフティがあるので、シリアルプレートには東京マルイ製グロックのような煩わしいオリジナルセーフティはありません。
マニュアルセーフティはフレーム後方の左側面にあり、実銃でいうバリアント1を採用。上図のように上に上げるとセーフティが働きトリガーを引いても撃発しません。
また、マニュアルセーフティはハンマーの位置に関わらず作動します。
さらに、ハンマーコックの状態からセーフティレバーを下に下げればデコックできます。
ハンマーは衣服への引っ掛かりが少ないデホーンドタイプを採用。図のように3ポジションあり、左がダウン状態、真ん中がハーフコック状態、右がフルコック状態です。
スライド後部。
なんとファイアリングピンがモールドで再現されています。
これまでの東京マルイでは考えられない粋な計らいに感動しました。
リアサイトは固定式の金属製でホワイトドットが塗装で入ります。
本体右側面。
フレームのオリジナル刻印が煩いと感じるリアル派の皆さんは、いずれ発売されるであろう社外製のリアル刻印フレームに交換しちゃいましょう(
エキストラクターの再現性は、やはりライバルのKSCに軍配が上がります。
フロントサイトも固定式の金属製で、ホワイトドットが入ります。
ややドットが下寄りにあるのがなんだか不快(笑)
通常分解はスライドストップレバーを外して行う、いわゆるM1911タイプ。
手順はグロックやSIG系に比べるとやや煩わしいですが、慣れれば問題ありません。
ポップアップレバーは最近の東京マルイ製品同様最新式。
そのおかげで、通常分解をしなくともチャンバーに指を突っ込んでホップ調整が可能です。
エンジンは最新式の15mm口径ピストンカップを採用し、シャープでスピーディーなリコイルを生みます。
スライドストップレバーは東京マルイ独自の機構で耐久性重視。スライド外側のノッチはダミーで、図のインナーレバーがスライド内側の金属製ノッチに掛かるという画期的な仕組みです。
おかげで外側のノッチはすり減ることはなさそうですが、ホールドオープンすると図のようにノッチとスライドストップレバーの爪との間にわずかに溝ができてしまいます。
ただ、同社製M&P9ほど大きな溝ではないので及第点といったところです。
マガジンは亜鉛合金製で23発のキャパシティ。
実銃のマガジンに質感を近づけるように塗装が工夫されているほか、背面にはプレスの噛み合わせや溶接痕が再現されており、仕上げは上々です。
また、マガジンのフォロアー形状が見直され、よりBB弾を揃えて装填しやすくなりました。
マガジンバンパーは、デフォルトのフィンガーレスト付のほか、フラットタイプも付属します。
USPシリーズのレールは独自規格であるため、ピカティニー規格のレールアダプターが付属します。
フラッシュライトの取付時に使用します。
実射性能。
リコイルは15mm口径エンジン搭載により、非常に鋭く素早い味付けがされており、撃ってて楽しいモデルに仕上がっています。
コンパクトオートと思って侮っていると、逆に感動すること間違いなしです。
初速については、やはりインナーバレルが短いので60m/s台と、やや遅めです。
命中精度については、東京マルイ製品としては平凡といったところ。
上図は東京マルイ製0.25gBB弾5発を射程8mで委託射撃した結果。左は1回目で右が2回目。
1回目は新品箱出しでホップが安定しなかったのか、やや上下に散らばっていますが、2回目はやや左に外れたもののなかなかのまとまり具合です。
お次に立射。
ツーハンド・アイソサリース(二等辺)スタイルで8mから5発。
ヘッドショット可能な程度にまとまりました。
最後に総評ですが、このモデルには非常に満足しました。
これまでの東京マルイ製品では考えられない再現度とリコイルショックで、お座敷でいじってもサバゲーでガンガン撃っても非常に楽しめるでしょう。
他モデルに比べて社外カスタムパーツが少ないのがネックですので、今後のパーツメーカーの動向に期待しましょう。
東京マルイには、この調子でリアリティとハイレベルな実射性能を併せ持った、クオリティの高いモデルを出し続けて欲しいものです。
今回はここまで。
ではまた。
Posted by Tommy 鷹志 at 23:42│Comments(0)
│東京マルイ
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