2018年04月07日

KSC SIGSauer P232 HW



KSC SIGSauer P232 HW



恥ずかしながら、20代も後半になりながらガンショップ通いがやめられません。
新入荷品や掘り出し物の物色や親しい店員さんからの情報収集が目的ですが、この趣味に魅せられて以来、ショーケースに並ぶ銃を眺めるだけで時間を忘れ、童心に帰れるものです。

ガンショップに着いたら真っ先に向かうのが、中古銃コーナー。
カスタムベースに最適な程度の良い現行品だけでなく、既に絶版となった珍しいモデルもたまに転がっていたりして面白いです。
中には動作不良のワケあり品も破格の安さで叩き売りされていたりしますが、多少の故障や部品欠損くらいであれば、パーツ注文して自分で修理出来るので、むしろお買い得だったします。

今回も、大阪で行きつけのとあるガンショップで掘り出し物を見つけてしまいました。
SIGのコンパクト好きなら気になる美しいモデル、KSCのP232です。





KSC SIGSauer P232 HW



実銃のP232は、1970年代に開発された警察用拳銃であるP230の直系後継モデル。
Walther PPシリーズやモーゼルHScを彷彿させる、ストレートブローバック作動方式の美しいデザインが魅力です。

型式が違う分変化点も多く、排莢不良対策にスライド後退量がUPしたり、スライドセレーション数の減少やグリップ、リアサイトの変更など、デザイン面で手が加えられています。

火力は.380ACP(9mm kurz)が7発程度。最新のコンシールドキャリーオートに比べれば心許ないですが、シビリアンのセルフディフェンスには十分。近年.380ACPが自衛用弾薬として再評価されはじめています。


国内トイガンでは唯一KSCがモデルアップ。細部を見れば、モデルガンのように緻密な再現性で定評があるKSCの実力がよく現れています。




KSC SIGSauer P232 HW



この個体は大阪で有名な某老舗ガンショップで入手。中古で箱無し取説無し、ピストンヘッドが死んでる状態で¥6,000でしたが、ガワの状態が良かったうえに昨今なかなか手に入らない希少モデルですので即押さえました。

早速見ていきましょう。



KSC SIGSauer P232 HW



スライドとマズルまわり。往年のストレートブローバックオートを彷彿させる、美しいデザインが妖艶。
さすがKSC、刻印の絶妙な細さと薄さがたまりません。書体の再現もバッチリ。HWのザラつきがパーカー仕上げのような質感で、これはこれで個人的に好きです。実銃はスライドのサイドがブルー仕上げなので、ヤスリがけとブルーイングの後磨いてやるとそれっぽくなるかも。
アウターバレルはシルバーメッキ。インナーバレルが現行のP230JPのような黒染めとなっていないので、後ほど自分で染めちゃいましょう。




KSC SIGSauer P232 HW



トリガーはカチッとした引き心地でプルは軽く引きやすいです。トリガーリセットはやや長め。
小さいながらデコッキングレバーはライブで作動します。やっぱりSIGはデコッキングが醍醐味。
さすがKSC、トリガーガード周辺など、パーティングラインの処理もばっちりです。




KSC SIGSauer P232 HW



グリップ。P232から、現行タイプのシボ加工グリップに変更。元々小さなモデルなので、女性でも握りやすいグリップです。シボ加工はやや甘めで、手に食いつくようなグリップ力はありません。




KSC SIGSauer P232 HW



ハンマーまわり。ファイアリングピンの再現はなく、かわりにシリンダーをとめる六角ネジあり。サイトは今時の3点ドットタイプで使い心地も良好かと。




KSC SIGSauer P232 HW



排莢口まわり。KSCの緻密な技を語るうえでのポイントのひとつが、ダミーのエキストラクター。無可動ながら別パーツで再現されているだけでなく、さりげなくレッドドットが入れられていてニクいです。




KSC SIGSauer P232 HW



通常分解は、いつも通りマガジンを外し、チャンバーの残弾を抜いたら、フレーム左側面のレバーを回してスライドを持ち上げて行います。他のメーカーには是非見習って頂きたい、メーカー刻印の絶妙な隠し方には拍手喝采です。




KSC SIGSauer P232 HW



通常分解。
分解よりも組立(特に、バレルをスライドASSYに通すところ)のほうがコツがいるかも。




KSC SIGSauer P232 HW



ホップアップは可変式で、チャンバー上部の穴に細い棒を挿入し調整します。




KSC SIGSauer P232 HW



さて、この個体で問題なのがピストンヘッド(画像で緑のパーツ)。開けてみれば経年劣化で粉々になっていました。そりゃ試射したら弱々しいし生ガス吹くワケだ。




KSC SIGSauer P232 HW



ということで、修理せず放ったらかしていたP230JPの黒いピストンヘッドに交換します。KSCのP230シリーズは、モデルによってエンジンパーツに互換性がないのですが、今回のピストンヘッドは大丈夫そうです。




KSC SIGSauer P232 HW



交換したら、見事に快調動作が蘇りました。生ガス吹きも解消です。




KSC SIGSauer P232 HW



マガジン。
リアリティ重視の二重構造で、プレスマガジンの質感を再現した外殻には脱帽です。
ただ、やはりシングルカラムで小さいマガジンなので、ガス容量は少なく冷えにも弱め。




KSC SIGSauer P232 HW



生贄となったP230JPとのツーショット。
P230JPはP230の日本警察向け仕様。マニュアルセーフティとランヤードリングが追加されています。
口径はさらにひ弱な.32ACP。ただし撃ちやすさでいえば断然軍配が上がります。
コイツもシリンダーが死んでいて実射不能だから直さなきゃ。




KSC SIGSauer P232 HW



開発する上で大いに参考になったであろう、PPK/Sとのツーショット。
大きさはPPK/Sのほうがやや小ぶり。




KSC SIGSauer P232 HW



命中精度は平凡レベル。
上はいつものようにお座敷5mで計測した結果。
東京マルイの0.25gで、5発を2セット。
だいたい80mm、ベスト3発で45mmまとまりました。

リコイルはHWらしい、やや重めのリコイル。
ただマガジンも小さく薄いので、燃費や持久力はサイズ相応かと。

気になった点は、ホールドオープン後にフレッシュマグを挿入すると、たまに勢い余ってスライドが勝手に前進し、ひどいときはそのままダブルフィードしたりすることくらいです。実射性能は、このサイズとしては十分でしょう。

装弾数が少ないのが難点ですが、そもそも実銃の運用構想もセルフディフェンス用なので、モデルガンみたくお座敷で眺めて撃つにはぴったりです。リアリティはモデルガンのごとく素晴らしいので、所有欲を大いに満たしてくれるでしょう。

ただ、2018年4月時点で、カタログ落ちはしていないものの長らく再販がないため、事実上絶版も同然、入手困難なのが実情です。
中古市場で見つけたら、迷わず押さえておいたほうがいいかもしれません。



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Posted by Tommy 鷹志 at 18:45│Comments(8)KSC
この記事へのコメント
同じSIG SAUERファンということでTommy 鷹志さんのブログは更新される度に拝見させて頂いております。
私もP230が好きで数箇所いじっております。
個人的に小さいガンで扱いやすいのはP230サイズまでで、G42ぐらいになると窮屈で撃ちにくい感じがします。
ところで私も大阪在住なのですが、大阪で中古ガンを扱っているショップを知りません。宜しければお教え下さい。
Posted by ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ at 2018年04月07日 20:46
ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ様

こんにちは。
コメント頂き有難うございます。

ボーディさんもP232をお持ちでしたね。以前ブログの記事を拝見致しました。
実銃はストレートブローバックで、スライドも重くリコイルもキツめらしいのですが、デザインが個人的にツボなので長らく探しておりました。今回ようやく入手できた次第です。

私が大阪でよく利用している中古エアガン取扱店ですが、個人的におすすめは弁天町と寝屋川にあるマグナムショップむげんです。

老舗なので店員さんも情勢に詳しく、価格も妥当かと存じます。
また、我々のような生粋のガンマニアが好んで利用するお店ですので、たまに掘り出し物が転がっていて面白いです。
特に寝屋川店のほうは品揃えも豊富で、少し距離が遠いのですがつい通ってしまいます。

他にも、日本橋に中古買取専門のグルカというお店があります。品揃えは大阪でもトップクラスで、箱付で状態がいい中古品が多いのですが、その分価格設定がやや高めです。
Posted by Tommy 鷹志Tommy 鷹志 at 2018年04月08日 08:47
Tommy 鷹志様

お答え誠に有り難う御座いました。
「グルカ」は家から近いので時々ですが行くことがありますが、店舗が変わってからは品揃えが減ったように感じます。
「マグナムショップむげん」の方は何故か縁がなく行ったことがないのですが、一度覗いてみたいと思います。
有り難い情報感謝致します。

PS
P220が新設計で発売されますね!
P228も作り直して欲しいです。
Posted by ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ at 2018年04月12日 23:45
ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ様

コメント有難うございます。

タナカのP220IC、早速予約しました。
旧モデルも所有しておりますので、入手次第比較レビューでもしたいと考えております。
いずれはこの改良が、P228などタナカの他のSIGオートに横展されれば最高ですね。
Posted by Tommy 鷹志Tommy 鷹志 at 2018年04月14日 00:37
Tommy 鷹志様

新型P220をご予約されたのですね。
羨ましいです。
以前、タナカのアーリータイプの方のP220を手に入れたのですが、ブローバックがダメダメだったので手放してしまいました。
個人的にP220は現行型の45ACPタイプが発売されると嬉しいのですが……。
Posted by ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ at 2018年04月16日 00:06
ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ様

コメント有難うございます。

以前記事にも書きましたが、自衛隊の9mm拳銃には憧れが強く、タナカのP220をようやく入手しましたが、噂通りあまり実射性能はパッとしないものでした。
今回、ようやくアップグレードされると聞き、すぐに予約しちゃいました。

45口径モデルもいいですね。
個人的には西独製9mmのヨーロピアンモデルも気になります。
Posted by Tommy 鷹志Tommy 鷹志 at 2018年04月21日 12:22
事後報告誠に申し訳ありません。
こちらのミリブロをお気に入りに追加させて頂きました。
これからも宜しくお願い致します。
Posted by ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ at 2018年08月30日 01:42
ウィリアム・アンドリュー・フィリップ・ボーディ様

お気に入り追加、有難うございます。
大変光栄です。
稚拙なブログではありますが、今後とも宜しく御願い申し上げます。

実は自分もボーディさんのブログをちゃっかりお気に入りリストに入れておりました…事前にお断りさせて頂いていなかったこと、何卒ご容赦ください。
Posted by Tommy 鷹志Tommy 鷹志 at 2018年08月31日 08:30
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