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Posted by ミリタリーブログ at

2018年05月19日

タナカ P220 IC 陸上自衛隊(9mm拳銃)




『タナカワークスの本気。』
そんなキャッチコピーがしっくりくる、とんでもないモデルが発売されました。

日本全国の本職自衛官の皆様、そして自衛隊ファンの皆様。
お待たせ致しましたというべきでしょうか。
ついに、ゲームユースに耐えられる、史上最強のエアソフト9mm拳銃が、ここに完成したようです。

今回はタナカワークスの最新作、P220 ICをレポートします。


■実銃について






画像はとある陸自駐屯地記念行事で取材した実銃

実銃は、戦後自衛隊(旧警察予備隊)発足以来使用していた米軍供与のM1911A1(11.4mm拳銃)の後継として、自衛隊が現在も正式採用している自動拳銃。
スイス(ドイツ)のSIG Sauer社製P220の9mmパラ口径・ヨーロピアンモデルをミネベア(現:ミネベアミツミ)にてライセンス生産しています。

元々は幹部や戦車搭乗員等の自衛用や警務官の主要装備として主に使用されていましたが、対テロを想定した市街地戦、近接戦闘での有用性から、現在では普通科連隊でもサイドアームとして運用されるようになりました。


■トイガンについて






9mm拳銃のトイガンはタナカワークスが1社独占で1990年代より販売しています。
ウエスタンアームズのマグナブローバックを採用し、HW Version2までマイナーチェンジを経て生産されていましたが、既に旧式感が否めず、おまけにタナカワークスのオート特有のガス漏れが構造上頻発するなど、優れた実射性能とは到底言えないものでした。

今回発売されたP220 ICは、これまでの旧モデルとの互換性をなくし、完全新規で開発し直した野心作。
雑誌等媒体での発表段階から、その進化ぶりが期待されていました。

僕も2018年4月頭の発表後即予約。
ようやく実機を入手することができました。

どれほどの変貌を遂げたのか、期待に胸が高まります。


■外観レビュー







パッケージ。
実銃の箱を意識したデザインが素晴らしく、もはやモデルガンのよう。
中には本体の他、取扱説明書と安全キャップ、BB弾が少々。








さすがタナカワークス、モデルガンのような繊細で高度な再現力に脱帽です。
本体はABS樹脂製でHW樹脂に比べるとプラ感が残りますが、安っぽさはあまり感じません。







実銃のスライドとフレームの材質の違いを再現すべく、塗分けられています。
スライドはややグレーがかったパーカーライズド(防錆処理)っぽい仕上げで、フレームのマットブラックとのコントラストがいい感じ。






刻印は細く薄く。
ミネベア(旧:新中央工業)でライセンス生産されたSIGSauerというのはもはや言わずもがなですな。






いわゆるクラッシックSIGオートの元祖なので、操作系はオーソドックスな、デコッキング付マニュアルセーフティなしのシングル・ダブルアクション。
デコッキングレバーはもちろんライブで、コックしたハンマーを安全におろすことが可能。

ダブルアクショントリガーは比較的軽め。東京マルイ製P226よりは断然軽い印象。
シングルアクションもやや遊びはあるものの軍用オートとしては平凡な引き心地かと。









マズルフェイスを実銃と比較。
やや実銃に比べ角が落とされていたりしてますが、上手く再現できていると思います。
真鍮製インナーバレルがやや張り出しており自己主張が強め。
気になる方は黒染めしてしまったほうがいいでしょう。









本体右側面の、桜にW(Weapon)の武器マークと「9mm拳銃」の刻印が妙に新鮮。
漢字の書体の再現もばっちり。
実銃のスライドは、訓練で酷使されてかあるいは丁寧にクリーニングがされ過ぎてか、もはやバトルダメージを通り越してスライドシルバーのツートーンに見えてしまいます。
エアガンでこのバトルダメージをいつか塗装で再現するのが地味に夢だったりします。







スライド・フレームともにパーティングラインが綺麗に処理されているのはもはやタナカワークスには当たり前。







ハンマーまわり。
モールドながら実銃のファイアリングピンがさりげなく再現してあってGOOD。









グリップはシングルカラムなので日本人にも比較的握りやすく、グリップアングルも個人的には非常に好み。

昔のヨーロピアンオートで流行った、ボトムのマグキャッチが懐かしい佇まい。
今時のタクティカルなリロードには全く不向きですが、マガジンなくしたらえらいことになる自衛隊にはむしろ好都合。
野山を駆け巡ってもマガジンを誤って落っことすリスクははるかに低減されます。







恐らくこれまでのタナカワークス製オートではなかったであろう、今トレンドの金属製ブリーチと噛み合うスライドストップを採用。
これでスライドのノッチが削れていく不安からようやく解放されます。







通常分解は他のSIGオートと同じ(元祖だから当たり前か)。
まずマガジンを抜き、チャンバーに残弾がないことを確認したら、トリガー上部・フレーム左側面のレバーを90度回してスライドを前に押し出すだけ。







通常分解されたP220 IC。
ここまで慣れればすぐバラせます。







今回の新規設計で採用された、可変ホップダイヤル。
これも最近のトレンドで、通常分解しなくてもチャンバーに指を突っ込んで調整が可能となりました。
時計回りでHOPが強くなります。







今回の最大の改良点であり、IC(Integrated Chassis)の名を冠する所以が、インナーフレームおよびガイドレールの金属化。
これにより旧モデルと比べ、耐久性と動作性を向上させています。






よく見るとアウターフレームとインナーフレーム間に隙間があったり、やや軋む感じがしなくもないですが、実用強度上問題はなさそうです。






マガジンも新規設計で装弾数は20発。



■新旧比較


ここまで外観を中心に見てみましたが、旧モデルとどのくらい変化点があったのか、もっと知りたい方もいるはず。
そこで手持ちの旧モデルと比較し、わかる範囲で差異を見てみました。

今回比較する旧モデルは、以前レポートした陸上自衛隊仕様のHW Ver2です。







まずは外観。
ぱっと見は塗装の変更程度であまり変わらないように見えますが、後述の通り細かな変化点が見られます。







右側面の刻印は製造年の字サイズがやや異なる他、フレームのメーカー刻印が無くなったのが最大の変化点です。これはリアル派には嬉しい改良です。







旧モデルに存在した、フロントサイト後部の謎の出っ張りもなくなりすっきりしました。
実銃を見る限りはこれが正解っぽいです。

2022/10/3追記:
読者の方から頂いた情報ですが、どうやら実銃の9mm拳銃には、薄っすらとですがフロントサイト後部に出っ張りが入っているようです。
(勉強になりました。ちなみに純正のSIG Sauer P220にはないようです。月刊GUN Professionals 2016年9月号参照)

ただ、旧モデルのようにあからさまではなく、やすりで削って平らにしたくらいがちょうどいい感じです。







ハンマーまわりにも改良あり。
旧モデルには独立したファイアリングピンがあり、これをハンマーが叩いてガスを放出する方式をとっていましたが、P220 ICは東京マルイなどに見られる、ハンマーと連動したノッカーがバルブを叩く方式を採用しているようです。
さらに新モデルはモールドながら実銃のファイアリングピンを模しており、外観のリアリティも向上しています。







インナーバレルがP220ICでより前方へ飛び出るようになったため、マズルのリアリティは旧モデルに軍配が上がります。







旧モデルでは不安であったスライドストップノッチの摩耗も、P220 ICでは前述の通り低減される設計になりました。







スライドASSYも、全く別物となりました。
エンジン部の構造も、性能向上を目指して設計変更されているようです。







バレル・チャンバー部は、HOPUP機構が大幅に変更され、より扱いやすく性能の高い設計となりました。
旧モデルではマイナスドライバーでねじを回すことで下部からHOPパッキンが張り出す方式でしたが、P220 ICではダイヤル式となり操作性が大幅に向上しただけでなく、パッキンも上からバーで押さえる方式に変更されたようです。







チャンバー部の設計変更に合わせ、バレルチルトを再現する機構も変更されており、外観が全く異なっています。






フレーム部は金属製インナーシャーシの有無にとどまらず、前述の通り撃発方式も大きく設計変更されました。

ちなみに、P220 ICではスライドを引いてからでなければガスが放出されず、作動しないようになっています。
例えば空撃ちで遊ぶ際、ガスを入れたマガジンを挿入して、スライドを引かずにトリガーをダブルアクションで引いただけではスライドは動作せず、ハンマーが連動してカチカチ動くだけ。故障ではなく仕様ですので悪しからず。







マガジンも大きく設計変更された箇所です。
まず装弾数が12発から20発へ増量し、下部からBB弾を一気に流し込めるよう前面スリットが拡大されています。
また、ボトムプレートを2本のピンで止める固定方式となりました。







放出バルブについても、旧モデルのような、マグナブローバック方式特有の可動式プレートはなくなり、ガード付ながら比較的オーソドックスなタイプのバルブに変更されています。
ガードはプラスドライバーで外せそうなので、これはひょっとするとカスタムパーツで社外製バルブが出そうな予感。







マガジンが完全新規となった分、旧モデルとのマガジン互換性はありません。
試しに旧モデルのマガジンをP220 ICに挿してみたら、画像の位置より奥に挿入できませんでした。

旧モデルに限らず、タナカワークス製SIGオートで問題となっていたガス漏れが、今回の新規設計でどの程度改善されているかは現時点では未知数です。
とりあえずこれから1年程度使ってみて、ガス漏れが発生するようでしたら別途記事にしてみたいと思います。


2019/5/19追記

あれから1年間、がっつり使い倒してみましたが、
ガス漏れは皆無です。
素晴らしい。タナカ製オートとしては、もはや革命的です。
安心して実戦投入できます。



■実射性能



実射性能については、旧モデルを知っておられる方は驚くこと間違いなし。
完全新規となり、撃ち味も雲泥の差と言えるほどに向上しています。

リコイルについては、旧モデルが軽くもっさりした動きだったのに対し、P220 ICでは素早くシャキシャキとした、鋭いものに変貌を遂げています。
動画の通り、ラピッドファイアのテストでもしっかり指についてきたうえ、スライドストップもばっちりかかりました。







初速は65m/S程度でブローバックガスガンとしては平凡なほう。






おまけに驚いたのが命中精度と飛距離。
旧モデルでは8m以前でドロップするような弾道だったのに対し、P220 ICでは10m超えてもまっすぐ素直な弾道で、きちんとターゲットに当てられるだけの精度を箱出しで持っています。

画像は東京マルイの0.25g弾使用、8mからツーハンド立射で5発の結果。
なんと50mmにまとまりました。
しかも大きな左右のブレはなく、安定しているのがわかります。

これはイイ・・・!!


■総評

これは本当にいい買い物をしました。
予約してまで買った甲斐あり、非常に満足しました。

むしろ予想以上の進化ぶりで、驚きの一言です。

まだまだ実戦投入してみないとわからない性能もありますが、少なくとも旧モデルとは比べ物にならないぐらい、使える9mm拳銃であることは間違いありません。

自衛隊ファンのみならず、タナカオートを知る人には一度でいいから撃ってみて頂きたい逸品です。
今年はコレと東京マルイの89式GBBで、自衛隊装備と行きましょう。

ついにタナカワークスが長年の眠りから目覚めたかのように、これまで霞んでいたオートのジャンルでいい仕事をしてくれました。
個人的に好みの機種をモデルアップするメーカーだけに、今後もこのように新規設計でリニューアルしていってほしいものです。

P228 ICとかP229 ICとか、出たら買いますよ。










  

Posted by Tommy 鷹志 at 03:48Comments(7)タナカワークス